rider notes

BC-ZR750C乗りの残しておきたいログ

琵琶湖|1.比叡山

 ツーリングというのも実はなかなか難しいもので、ただ自分の体が空いているだけではどうしようもない。望むべくはスカーっとした晴天なのだが、現実にはそんなことはむしろ稀で、結局は「ま、雨が降らないだけマシか……」といった心境で出発することが多い。今日はまさにそんな日だった。

ど~んより

 おまけに今のような季節の変わり目は「暑さ」「寒さ」の加減も非常にわかりにくい。そのうえ、当たり前だがバイクで疾走するのがツーリングである。「10Km/hでマイナス1℃」とすれば、今日の予想最低気温11℃は80Km/h(高速道路)なら体感気温は3℃。最高気温の18℃でも10℃に爆下がりするわけだから、GWを1週間後に控えているとはいえ、まだまだ上下ヒートテックが必須といえる。

 なんてことはわかっていたから準備は万端だったはずなのに、高速に乗って走り出した途端にあまりの寒さにビビる。1つ目のSAの手前で「一回戻ってより重装備にして仕切り直すか?」と思ったほどだったが当然そんなめんどくさいことをするはずがなく、ただただ寒さにぶるぶる震えながら一向に晴れる様子のない空を恨めしげに横目で見やりつつ10Km近い渋滞を無の境地でくぐり抜けて立ち寄った京田辺PA

 なんなら雨降るんちゃうかと思うほど見事な曇天の中、第二京阪を鴨川東ICまで走りきり、稲荷山トンネルを潜行してなんとかR1に合流。

 ここまでくればこっちのもの。給油を済ませてR161にスイッチしたらあとは標識に従って進めばよい。高速ほど速度を出すわけではないから寒さも多少はマシだ。

 山中越(県道30号線)に入ってぐーねぐねの道をぐいぐい上ったら、いよいよ本日のメインディッシュである比叡山ドライブウェイの入り口だ。

 実は先日、なにげなく自分のブログを見ると、前回ここに来たのは2005年 with Tちゃんだったことが判明。

ridernotes.hatenablog.com

 このときはチョー久しぶりの比叡山ドライブウェイ奥比叡ドライブウェイに興奮してしまってひたすら走りまくっただけだが、今回は寄れそうな展望台にはぜーんぶ立ち寄って景色も満喫してやろう、なんなら比叡山を堪能したらあとはもう帰ってもいいや! という作戦である。

www.hieizan-way.com

 ゲートでチケットを取ったら(料金は出口で後払い)、前にも後ろにも車がいないドライブウェイを30Km/hくらいでのんびりと、目にも眩しい新緑を満喫しながら走る。ただし、後ろからいつ車が追いついてくるかわからないので、ミラーのチェックには忙しかったが。

 標高100mでざっくり言えば0.6℃下がるので比叡山中の標高500~800mの気温は麓とは3℃以上は違うことになる。そして、陽射しが一向に望めないうえ鬱蒼とした木々に囲まれながら30Km/hで走っていると体感的には5〜6℃、いや、7〜8℃は低くなる計算だ。ところが、そんなことよりも目の前の緑の息吹を感じ取ろうと一生懸命になると、一時的とはいえ寒さを忘れられるんだから不思議だな。というかぼくが単純なのか?

 入口ゲートからあっという間に見えてきたのは夢見が丘の展望台。大津市街地と琵琶湖を一望だ。

 平日の朝だけに人っ子一人おらず平日万歳なわけだが、なんだかすでに真冬の午後3時くらいの寂寥とした気配もある。

それにしても……絶景哉絶景哉

 そこから再び北上。

満開の八重桜がいいアクセントになっている

 奥比叡ドライブウェイまで走り切ると二輪なら1000円以上取られる有料道路だけあって、路面もスーパー快適。こういう「しっかり料金は取るがその分しっかり快走路」を走ると、無料化された途端に改修がパタッと止んでしまい、たまの舗装工事でアスファルトもツギハギだらけの凸凹になるくらいなら、現状をしっかり維持できる程度の通行料金を徴収してほしいと思ってしまう。二輪にはその方が安全に走ることができるのではないか? そもそも琵琶湖南部から高島へ抜けるなら湖西道路(R161)、小浜へ抜けるなら鯖街道(R367)があるんだから、無理にここを無料開放する必要はない。

 夢見が丘展望台からほどなく見えてくるカーブに位置するのは登仙台の展望台。ここはご丁寧に京都府滋賀県の県境マークがあったので、四郎号の「映え写真」を撮る。

絶景なのは言うまでもない

 次に目指すは比叡山頂!

 あいかわらず一台の車もいないドライブウェイをちんたら走りながら、比叡山頂の看板が出てきたらそちらへ。頂上近くにある駐車場にも車は2~3台。目の前にあるガーデンミュージアム比叡にも人の気配はほとんどなく、平日万歳とはいえここらになるとさすがにちょっと人がいてもいいのではと思わざるを得ない。人間とはワガママな生き物だ。

 次に行ってみよう!

 ドライブウェイに入って初のトンネルをくぐって突如見えてきたバカでっかい駐車場を取り囲むように桜が咲いていたのでチラッと立ち寄ってみる。

 標高が800mを超す延暦寺は、「南都」である奈良・興福寺と並んで「北嶺」とも言われ、平安京京都市内)の鬼門に当たる位置に鎮座する平安仏教の中心地であり、天台宗の総本山だ。開祖は最澄。鎌倉仏教である浄土宗・法然浄土真宗親鸞臨済宗栄西曹洞宗道元日蓮宗日蓮らが若い頃に修行を重ねた場であり、ドライブウェイのところどころに「仏教と修行の道」と書かれているとおり、まさに「日本仏教の母山」といえる。(by ウィキペディア

 そんな延暦寺には見向きもせずにただひたすら桜と四郎号の写真ばかりをパシャパシャと撮っているぼくはどうなんだろうかと疑問がわかないわけではないのだが、まぁ延暦寺は何度も来たことがあるから今回はイイのだ。

 ここは延暦寺の中心地・根本中堂に最も近い駐車場で、Tちゃんと来たときにもここにバイクを止めて散策したなぁ。今も観光バスが3台ほどと30台はいるであろうマイカーが並んでいる(あいにくバイクはいなかった)。降りて散策に向かった団体客の帰りを待っているのであろうバス運転手の数人が、タバコを吹かしながらぼくを興味なさそうに一瞥すると話の続きに興じている。彼らの妙に乾いた笑い声が聞こえてくるようだった。

見事すぎ

 ところで実は、本日ここに来ようと思ったきっかけになったツイートがこちら。

 爽快な青空がバックだったらなぁ。返すがえすも残念。

 さて。

 ここまでが比叡山ドライブウェイ。東塔を越えて検札所(チケットを入れるだけ)を過ぎると、ここからは奥比叡ドライブウェイになる。(正式には根本中堂以北)

www.hieizan.co.jp

 といっても道はつながっているわけだし、路面の具合もすこぶる快調。だから何も意識する必要はないのだが、土日祝は二輪の通行が禁止されている。今日は月曜だから関係ないけど。

 次は峯道レストランに併設されている展望台も絶景との情報をキャッチしていたので向かうこととする。

 いくら平日でも展望台となると2~3台の車は止まっていて(最初の夢見が丘除く)、その数だけ観光客もいるし、現に根本中堂の駐車場に止まっていた車やバスもそれなりにいたから他の車もドライブウェイを走っているはずなのに、走り始めると一台もいない。なぜだ。

 やがて目に飛び込んできたどデカい駐車場が峯道レストラン。

この構図もだんだん見飽きてきたな

ぽつぅーん

 今回はレストランでメシを食うでもなく、絶景を見て走りたい。となると、レストランや根本中堂だけでなく横川中堂もパス。

 そして最後の展望台はたいした看板も出ていない、その名もズバり「びわ湖展望台」。案の定一旦通り過ぎてしまい、Uターンしてなんとか到着。

 車なら10台ほどしか止められない小さな駐車場の端っこに四郎号を止め、

 開けた奥にてくてくと歩いていくと、

 展望台がある。

 ここは確かに一番見事な眺め。

 ちょっと寒さも和らいだところでベンチに座って一服しようとしたら、白髪のご老人とその娘さん(ぼくと同い年くらい)がご来訪。娘さんがスマホで写真を撮ろうとしていたので「撮りましょうか?」と申し出て数枚撮ったら、

娘さん「どちらからですか?」
bar「大阪からです」
娘さん「あのバイクで?」
bar「はい。どちらからですか?」
ご老人「長崎からです」
bar「おー!」
娘さん「私は和歌山なんですが、父が長崎から遊びに来たので」
bar「なるほど。コロナもようやく一段落つきましたもんね」
ご老人「そうなんです。顔を見るのも久しぶりで」

 和歌山と聞いて一気に親近感もわいたが、数年ぶりの親子水入らずによけいなことを言うものではない。

 それにしても新型コロナウイルスってやつもいろいろととんでもないことをしてくれたもんだな。子どもたちもずーっとマスク&自粛生活を強いられて不自由しただろうが、大人たちにも大きな影響があったんだぞ。この親子のように喜びの再会を果たせればいいが、そうもいかなかった親子もたくさんいるんだろう。

 ここらあたりからぐんぐん下っていけば、もういよいよ奥比叡ドライブウェイも終わり。標高が下がって寒さも少しずつ和らいでいくのがわかる。

 山の中の道もずいぶん堪能できたなぁ。ホントにこのまま帰ってもいいくらいだな……などと思いながらも料金を払い終えて四郎号を道端に寄せて時計を見るとまだ昼にもなっていない。

 さて、どうしようか。

(つづく)