rider notes

BC-ZR750C乗りの残しておきたいログ

賀名生

 先週末から天気予報で散々いわれていたことではあったが、

「萎えた」「諦めた」とボヤいておきながら時間がちょっと空くとやっぱりケツが疼いてくるのはどうしようもないバイク乗りの性(さが)。先週末くらいのあったかさがあれば本当はみなべ梅林へ、今が盛りの梅を観に行くかなどと目論んでいた(近畿は南に行くほど晴れ予報)のだが、「ツーリング先に寒梅を選んでオトナとしての余裕を見せつけてやろう」などという邪念のせいか、それも叶わぬ午後2時になろうとしている。

 そういえば梅ならもっと近くにあるじゃないかと思い立ち、五條からR168に乗ってすぐにある賀名生(あのう)へ向かうことに。前回の「いつか行けるだろうと思ってまだ行ったことがない明日やろうは馬鹿野郎」シリーズの第2弾。

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 あわよくば…と行ってみたら、

 さっぱりだった。

 民族資料館の庭にある梅の木のうちの一本だけがようやく蕾をつけているような状態。

 賀名生の梅がまだまだなのはもうわかったが、せっかく来たのだから全部見てみないと気が済まないのは貧乏性ゆえ。そこから観梅極狭ロードをぐんぐん上っていくと、この寒さの中、気合いを入れて花を咲かせている梅の木が数本。

グッジョブ!

 まぁ全体としては0.5分咲きといった感じで、観光客も誰一人いない閑散としたなか、めちゃくちゃ狭く路面ガッタガタの観梅ルートを時速10Km/h程度で進む。マイナー舗装林道と思しき区間もあって、とてもじゃないが眺望を堪能したり3速以上に入れて爆走したり止まってちょっと写真を撮っちゃおうかななどと思ったりするような余裕などカケラも出てこない。

 傾斜もなかなかのもので車同士のすれ違いなどとんでもない道幅が9割なので、開花の季節だと一方通行。車なら極力…というか、絶対に下の駐車場に止めて歩いて回ったほうがよい。地元の方々の家の軒先をかすめるように進む箇所もあるので、そういう時季はひょっとしたら車両は通行禁止になっているかも。

 それにしても、賀名生は山深い。

 600年以上昔、北朝からの圧力に屈して吉野から賀名生へ移ったとき、吉野よりも都から離れるここを選ばなければならなかった南朝の失意は想像するに余りある。

 紆余曲折があったものの14世紀末に京都へ帰るまで南朝の行宮があった現在の賀名生は梅の名所として一躍名を馳せ、同時に日本史上屈指の動乱期の歴史を今に伝えている。松尾芭蕉ならここで一句詠むんだろうな。

 日没の雰囲気が漂ってきたので、これ以上寒くなってはかなわんと帰路につく。とはいえ行きは京奈和道で味気なかったので、帰りはR168から県道55号~R307~県道13号でのんびりと。それでもやっぱり1時間ほどが限界だ。帰りにあった道の駅で、あったかいを通り越えてもはや痛いレベルのホット具合いの缶コーヒーを注入。

 見事な梅を見られたわけでもなくたいしたネタがあったわけじゃないのでブログに載せようと思っていたわけではなかったが、久しぶりに「やっぱりバイクに乗るのはおもろいなー」と感じられて、ひらひらと走れたのが嬉しかったので。

 なぜだろう。

 寒すぎて感覚がおかしくなったからと言えなくもないし、久しぶりにちょっとしたぐねぐねした道を走れたからかもしれない。ひょっとしたらバイクに乗らない日があるからだろうか。ぼくにとってはバイクに乗る日も大切だし、バイクに乗らない日も大切なのだ。

 最後に、見事な賀名生の梅林はコチラからどうぞ。

yamatoji.nara-kankou.or.jp