鳥取砂丘から海岸に向かって県道319号線(砂丘道路)を走ると、海の見えるあたりからはびっくりするくらい人も車もいなくなり、
信号もないので、まさに快走路そのもの。ただし「飛砂注意」の看板を除く。スタートから砂ですっ転んだりしたら目も当てられん。
「飛砂」に最大限注意しながらそろ~りと走っていると、その途中チラッと海を見渡せそうなパーキングがあったので寄ってみる。
風が強く吹き、大きく波立っている。こう見ると、霞む青空と海の青さを背景に波の白さがより際立ったエンボスを効かせ、日本海は躍動感に満ちているようにも思える。晴天も似合うじゃないか。
砂丘道路から県道328号線をわずかに経由してR178に入り、案内標識どおりに浦富(うらどめ)海岸を目指すため、県道155号線へ。ここからが奇岩の類が散在する山陰地方特有の海岸線、すなわち「山陰海岸ジオパーク」の本領発揮といったところ。最初に目指した城原海岸の手前から、青空と海、そして太平洋ではあまり見られない海岸線のオンパレードだ。
あっという間に城原展望所に到着。
景色を眺めていると、観光船らしき船が岩礁のあたりをゆっくりとした速度で進んでいた。ここから見ると小さな岩礁も、近くで見ると迫力があって楽しいだろうな。
城原を越えるとすぐに道は下り坂になり、田後という小さな集落の中を通るとすっかり海沿いの道になる。ここ浦富海岸は昔からの地形を今に保持する地域で、後で知ることになるのだが山陰海岸ジオパークでも屈指の海岸だ。
浦富の街なかに入る直前にビーチを発見したので急遽ピットイン。
県道155号線もほどなくして再びR178に合流する。
少し進むと「山陰海岸ジオパーク 海と大地の自然館」があったので寄ってみる。奇岩だ砂浜だと騒いでいるだけでは虚しいので、ここらでしっかりと勉強しておこう。
驚いたことに入館料は無料。ぼくが入ってきたことに受付のおっちゃんもちょっとびっくりしていた。
ここでは、日本列島がユーラシア大陸から分かれて日本海が形成される過程、4000万年前から現在に至るまでの経緯を地形学的に図説で丁寧に説明してくれていた。山陰海岸のどこの地質がいつ頃形成されたものなのかといったことも色分けされていて面白かった。ちなみに浦富海岸に見られた奇岩群は花崗岩で、現在の状態は海食崖、波食棚というのだそうだ。
1950~60年代に国立公園、国定公園に指定されてから約半世紀後の2007年に自治体や漁協、観光協会らがジオパーク推進協議会を設立し、2010年に世界ジオパークネットワークに加盟が決定。後世に残すべき持続可能な開発を進める自然として認定されたのだ。
30分以上かけてじっくりお勉強したら、再び山陰海岸へ。
次は居組海岸で再び海食崖を堪能しようと思ったら、その手前で羽尾というビーチ発見。浦富海岸は西側が花崗岩の海食崖・波食棚、そして東側が砂浜ということだな。
そんな浦富海岸を最後に望めるのが東浜展望所。
県道128号線も新温泉町に入るが道からはなかなか海岸線が見えない。やたらヘアピンしているカーブが見えたところに数台のバイクが止まっている小さなパーキングがあったので入ってみると、見事な海岸の様子が一望だった。七坂八峠というらしい。
ヘアピンをクリアして下りきったところで県道128号線を直進すればR178にナチュラルに合流。穴見海岸を越えてトンネルをくぐった先にも荒々しい奇岩群が途切れることなく続く。
ガソリンがやや心細くなってきたので、浜坂の国道沿いにあったGSに入った。四郎号のタンクにノズルを突っ込みながらGSのおいちゃんが、
おいちゃん「バイクが気持ちいい季節になりましたね~」
barちゃん「まったくです」
おいちゃん「今からどちらまで?」
bar「県道の260号線で海岸線を辿って余部の灯台に行こうかと」
おいちゃん「鉄橋ではなくて、灯台?」
bar「そうです」
おいちゃん「その道、通行止めになってたんちゃうかなぁ」
(・∀・)ハ?
おいちゃん「法面がずれたとか道が陥没したとかで。いつからかなぁ」
bar「マジすか」
おいちゃん「バイパスに乗って余部で下りて、あっち(東側)からなら行けるかも」
昔なら、「通行止め? だからなんだ。行けるところまで行ってやるぜ」とよけいに闘志がかき立てられていたところだが、ここは素直に灯台は諦めるか。
(つづく)