RIDER NOTES

BC-ZR750C乗りの残しておきたいログ

淡路國攻略戦|1.制空権ヲ奪取セヨ!

南海淡路フェリー乗り場

 実は以前から話には出ていたのだが、大した理由もなく先延ばしになっていたツーリング計画。それは淡路島の走破である。ぼくはもちろん大昔にぐるぐる走ったことはある(記憶は薄い)のだが、最近巷で「大阪生まれの大阪育ちというのはウソなのではないか」とまことしやかなウワサの立っているTちゃんにいたっては、淡路島について、「今回は行ったことないわけじゃないんですよ。(高速で)通ったことはあるんです」

 それは上陸したとはいえんよ、Tちゃん。

 ってわけで、琵琶湖周遊との天秤の結果、Tちゃんは淡路島を選択したのであった。

 さて当日。南海淡路フェリー乗り場での待ち合わせは午前6時10分。Tちゃんはジャスト・オン・タイム! 僕もやや遅れたものの6時15分には到着した。

 早速朝イチのTちゃんを激写しようとウエストバッグの中をまさぐった……カメラ忘れた!

Tちゃん「カメラマンがカメラを忘れちゃダメですか。取りに帰ってください」
bar「…はい」

 いつから俺がカメラマンになったのかというツッコミを許さないほど時間がなかったので、しかたなく自宅へ戻ってカメラをゲット。とんぼ返りでフェリー乗り場へ。するとTちゃんは待っている間、フェリー乗り場前の広~い道で「8の字走行」の練習をしていた。

「いやぁ。昨日も神戸のライディング・スクールに行って、みっちりシボられてきたんです」

 いつもツーリングでは僕とあほなアドリブを披露するTちゃんだが、最低月イチでホンダやオートバイ販売店等が主催するライディング・スクールに通って、腕を磨いている。

「昨日のは特にスポ根スクールでしてねぇ。ステップに加重してニーグリップするじゃないですか。『そのままシートとケツの間に紙一枚はさんだつもりで30分走れ!!!』とか言うんです。もう今日は膝もがくがくですわ…」

 そこから料金を払いにゲートをくぐるのだが、バイク料金は750ccを境に400円の差。ゲートにて、

おっちゃん「何cc?」
bar「738cc!!!」

 ゼファー750って738ccのくせにナナハンを名乗ってる。そう。サバ読みすぎなのだ。

 そんなこんなであとはフェリー待ち。モーニング・コーヒー(缶コーヒー)を楽しみつつ、その昔オートバイに乗っていたというおっちゃんに話しかけられて会話をかましていると、間もなくゆったりとした動きで南海淡路ライン、別名「淡路フェリー」が登場。

Tちゃん「デカいフェリーですねー」
bar「そうかい?」
Tちゃん「僕が知ってるのは小豆島行きのやつだけですし」
bar「なるほど」
Tちゃん「なにしろフェリーは10年ぶりですから」
bar「10年ぶり…それはもはや初めてと言えるのでは…」

 実は僕もオートバイをフェリーに乗せるのは15年ぶりなのだが。

 そろりそろりとフェリーにオートバイを乗せ、係のおっちゃんに紐でがっちり結わえられたのを見届けると僕たちは客室へ。しばらく客室で上陸後の進軍路について話していた。

Tちゃん「淡路島は周囲が150キロしかないんですねぇ」
bar「そんなもんか。敵は意外と簡単に落ちるかもな」

 そう。僕たちは今回、淡路國を「走覇」するために乗り込むのである。

「そうですね!!! よ~し、今日は走るぞ~!!!」と威勢のよかったTちゃんだったが、気分転換に甲板に出たところ、「ぼ、僕、これはダメです…」と手すりにすら近寄れない。

 頼りになるのかならないのかよくわからない高所恐怖症のTちゃんとともにフェリーで1時間半。やがて見えてきた淡路國。

Tちゃん「よ~し! 淡路國を『走覇』するぞー!!!」
bar「では、いざ進軍!」

世界平和観音像

 まず津名港からの上陸作戦を成功させた我々大阪連合軍は、当初の作戦どおりR28を北上することに。第一次総攻撃の目標は世界平和観音像。そう。まずは台座20m、総高100mの平和観音像を制覇することで制空権を握り、その後の淡路國攻略戦を有利に進めるためである。

 到着したのは8時50分。R28沿いの駐車場には一台も車がなく、どこかひっそり。我々の攻略戦を知って恐れおののいたのか。よく見ると、9時開門 。

 車だと駐車場に置くことになるんだろうが、僕たち大阪連合軍は機動力を重視した二輪精鋭部隊。そのまま砂利の駐車場を突っ切って入り口前に横付け。そんなバイクの音を聞きつけてか、一人のおばちゃんが中から登場。

bar「あ。もう開きます?」

 するとおばちゃんはなぜか慌てた様子で、

「えっ。あ、まだ支度できてないから…ちょ、ちょっと待っててくれる?」

 僕たちは開店までをタバコを吸いながらバカ話をしつつやり過ごし、時計を見ると9時5分。いよいよ制空権を握るための戦いが始まる。

 …と思ったら、中のおばちゃんたちはまだいそいそと掃除をしたりしている。ひっそりとした館内。

bar「あのぅ…まだですか?」
おばちゃん「あ…いいですよ」
bar「いくらですか?」
おばちゃん「…え~っと…」
Tちゃん「800円ですよね」
おばちゃん「あ、そうそう。お一人800円ね」

 明らかに朝イチの客にうろたえているおばちゃんたち。

bar「上(観音像)、上がれます?」
おばちゃん「あ…今準備してるんですよね…。よかったらここ(1階)を順番にお参りしててください」

 もう9時過ぎてるっちゅーねん! と心のなかでツッコミながら、どうやら朝駆け奇襲攻撃は大成功のようだ。ここは武士の情けとして1階を徘徊することに。

 すると、四国八十八ヶ所をお手軽にお参りできるシステムを発見。

 するとTちゃん、

「ほほぅ…。これはお手軽ですなぁ。こんなのもアリなんでしょうか?」

Tちゃん「忍法『ひと粒で二度おいしいの術』です」
bar「アリじゃねーか?」
Tちゃん「すると、これはどうでしょう?」

bar「これは何の術?」
Tちゃん「これは忍法『ツイスター流4ヶ所一気の旅の術』です」

 いつもなら…

(=゚ω゚)つ)゚∀゚)グァ

 なのだが、ありがたみもあんましなさそうだし今回はアリとしておこう。さまざまな奥義を繰り広げながら八十八ヶ所を無事制覇したTちゃん。

 次に目にしたのが、さまざまな仏像。

「おっ。これだけ並んでたら、上杉謙信公の崇拝していた毘沙門天とかもあるんじゃありませんか?」

 すると、いましたいました。毘沙門天様。

 ひと通り1階を制覇した僕たちはいよいよ観音像へ。おばちゃんに行けることを確認してから、僕たちは早速エレベーターで展望台まで上ることにしたのである。ここで、

Tちゃん「しかし展望台って、観音様のどのへんにあるんでしょうか?」
bar「展望台ってゆーくらいだから、目ン玉とか口とか、そのへんじゃねーか?」
Tちゃん「ここは明らかにB級スポット。そんなありきたりな場所ではないでしょう」
bar「ほほぅ。すると、どのあたりと?」
Tちゃん「ここらへんじゃありませんか?」

 今度こそ…

 




































(=゚ω゚)つ)゚∀゚)グァ

 ほっぺたをさすっているTちゃんと到着した展望台。エレベーターが開いた瞬間、海が一望。ふと上を見たTちゃんが、「わー! 喉のあたりでした!」

(鼻の穴が丸見え)

Tちゃん「おぉ…。これはくらくらきますなぁ…」

 いや、これは俺でもくらくらくる。

 ……ん? なんかミョーだぞ…。そーいやTちゃん、君はフェリーの手すりにすらつかまれなかった高所恐怖症なのでは…。

(基準がよくわからん)

Tちゃん「いや。こうやって金網を張ってくれてたら大丈夫なんです」

 しばし梅雨入りしたとは思えないほどの晴天とキレイに見渡せる海を眺め、淡路國の制空権把握を確認した我々大阪連合軍が、いざエレベーターに乗って下界に戻ろうとすると、その扉にあるかわいらしい象さんのイラストと「指をはさまないように注意!」と書かれたステッカー。

bar「このステッカーがB級スポットぶりを感じさせるね」
Tちゃん「……」
bar「どしたの?」
Tちゃん「いえ、ね…。この『指』ってのは、ホントは違うんじゃないかと…」
bar「は? エレベーターの扉に指をはさむな、というよくある一般的な…」
Tちゃん「違いますよ。よく見てください。ステッカー」
bar「はぃ?」
Tちゃん「この象さんがはさまれそうになっているのは鼻じゃないですか」
bar「そうやけど…」
Tちゃん「この形と皺の寄り方からして、この象さんの鼻が象徴しているものは…」
bar「……。まさか……」
Tちゃん「その、まさか、ですよ…」
bar「まさか、口に出しちゃうんじゃ…」
Tちゃん「さぁ! 言いますよ!」
bar「待て! 落ち着け! 曲がりなりにもこのツーレポは、うら若き女性たちも読んでくれてるんやぞ!」
Tちゃん「ダメです! 言わせてください! 言いたくてうずうずしちゃいます!」
bar「ダメだーーーーーーーー!!!!!」
Tちゃん「そう! このステッカーがはさまれるから注意しろと言っているのは、正確には『指』ではなくて…」
bar「あーーーーーーー!!!
Tちゃん「ち○ち○なんです!!!!!!」

 













































(=゚ω゚)つ)゚∀゚)グァ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<(_ _)>

(つづく)