rider notes

BC-ZR750C乗りの残しておきたいログ

丹後|1.混乱の儀式

紆余曲折

 やってきましたゴールデンウィ~ク。今回もルーティング大王・Tちゃんからだいぶ前に、

「吉備路はどうです? 吉備津彦神社やら国分寺やら意外と見所多いですよ」

 というメールをもらっていたので、そっちの方向で考えていたのだが、いつもルーティングしてもらっているのも申し訳ない……と思ったかどうかは忘れたが、何気なくツーリングマップルを見ていたら、日本海京都府宮津市天橋立が目に入った。んでTちゃんにメール。

bar「天橋立とかどう? ……まさか行ったこと……」
Tちゃん「ありません!」
bar「マジか。日本三景やし行っとく? 俺は岡山方面でもええで~」
Tちゃん「行っときます!」

 ってわけであっさり方向転換となったわけだ。しかし毎度ながらツーリングとなると当然気になるのは天候。1週間ほど前の週間予報では晴れ。しかし、決行日が近づくにつれて晴れが曇りになり、しまいにゃ雨の予報になる始末。2日前の予報では降水確率70%にまでなっている。

bar「こりゃもうダメかもね…連休明けに延期しようか」

 という弱気メールで送信すると、

Tちゃん「善行を積むのです! あとは祈りましょう!」

 なんと頼もしい。Tちゃんの善行のおかげか降水確率が40%にまで下がった前日に、

Tちゃん「今から風呂掃除をします。barさんも善行を積むのです!」

 善行……。イマドキこんな言葉をつかうヤツが世の中に何人いるだろうか…。細木数子の占いサイトに何か載ってたのだろうか。

 実際僕は善行を積むどころか何もしなかったわけだが、前日昼過ぎには降水確率は20%以下にまで下がっていた。まぁそんなもんだ。

待ち合わせ

 さて、当日。

 集合場所はTちゃん宅から程近い阪神高速堺線住之江入り口前。集合時刻は朝6時。住之江入り口までは僕の自宅からは下道で約1時間。5時に出るとして、起床時間は4時30分。事前に愛する奥様に起床時間を伝えるが、

奥様「そんな時間に起きれるの?」

 …奥様は忘れてらっしゃるようだ。僕が遊びのためなら睡眠1時間でも起きられる体であることを。

 それだけではない。今回のツーリングの前日には第2師団長をトミカ博(@ATC)に連れて行き、ほどよくくたくたになる作戦に出ていた。功を奏したのか午後10時には深い眠りにつき、起きたのは予定通り4時半! 起きてからそそくさと支度をして外に出てみると、まだ霧のような雨が。でも、もうまもなくやむはず。家の庭でエンジンをかけるととっても近所迷惑なので、通りまで押していってからエンジンオン!

 すぐにR26に出てひたすら北上。朝早いこともあって、いつもは車でごった返すR26をすいすい。堺の安井町から海側に折れて尚も北上。住之江入り口は行ったことはないが、地図で見る限りR26からちょっとだけ曲がればすぐにわかりそうなところにありそう。大阪市内に入ってもすいすい進んでいくと「阪神高速←」みたいな看板発見! すかさず左折して進むと「玉出入り口→」

 玉出? …そーいやそんな出入り口が堺線にあったよーな気も…

 辺りを見回せど住之江入り口があるわけがない。ケータイを見ると、時刻は5時45分。出発してから45分か…住之江まで1時間かかるから、まだ進まなきゃならないのだろうか。しゃーねーなー。Tちゃんにすかさずメール。

bar「玉出ってどこ?」
Tちゃん「は?
bar「玉出っていう入り口の近くなんやけど、住之江よりまだ南?」
Tちゃん「玉出は住之江よりも北ですよ」
bar「マジか」
Tちゃん「10分くらいで着きますから、ちょっと待っててください」

 …ってわけで、Tちゃん登場。

barどちら様ですか?

 だって、こーんなカジュアルTちゃんしか見たことなかったし。

(伊勢ツーリングより)

 見たことのないライダージャケットと真新しいツーリングマップル

 見たことのない新しいリアシートバッグ。

 つるつるぴかぴかのフルフェイス。

Tちゃん「…いちいちうるさいです」
bar「だってー。前のマジェ時代と全然雰囲気が違うからさー」
Tちゃん「僕はカタチから入るタイプなんですから」

ひと騒動の儀式

 そんなこんなで僕たち一行は、GSとコンビニに寄って自分とバイクの胃袋を満タンにして、いざ出発。玉出入り口から阪神高速堺線に乗った僕たちはそのまま11号池田線へ。池田で中国道に乗り換えて西宮名塩SAに入る。

 今日は平日ではあるものの、さすがに連休だけあって長距離ライダーがわんさか二輪駐車スペースに。ほとんどが大型ツアラーで、リアシートにてんこもりになったキャンプグッズを載せている。

Tちゃん「キャンプツーリングですかー。いいですねー」
bar「そうそう。俺も今回は連休やからキャンプツーを目論んだんやけどねー」

 なんて話をしながら一服していると、

Tちゃん「…ダメです」
bar「ついにきたか!」
Tちゃん「はい。催してきました…」
bar「朝の儀式だね」
Tちゃん「そうです。セレモニーです…」
bar「そーいや俺も行きたくなってきたな」
Tちゃん「ダメだー! 行ってきます!」

 風の如く走り去ったTちゃんだったが、ものの3分で帰ってくる。しかも冴えない顔。

bar「どしたの? やけに早いけど。漏らした?
Tちゃん「長蛇の列でして…。並んでたら波も収まってしまいました」
bar「あれま」

 そのまままたタバコを吸ったりしていたのだが、

bar「……あかん。俺もスイッチが入ってしもた! 並んででも行ってくる!」

 と悲壮な思いで便所に向かったが、がらがら。並ぶことなんて全くなく個室ですっきり。

bar「いやぁ~、待たせたね」
Tちゃん「お帰りなさい。やけに早かったッスね」
bar「うん。がらがらやったで~」
Tちゃん「なんと! ではアタクシも…」

 そしたらまた3分もしないうちに帰ってくる。

bar「な! がらがらやったやろ?」
Tちゃん「それが…また長蛇の列でした…」
bar「どこの便所に行ってるんや?」

 ってことで名塩を後にすることにしたのだが、ここで一つ僕ちゃんから提案。

bar「バイク、交換して乗ってみる?」
Tちゃん「マジっすか?!」

 今年に入って大型免許を取得したTちゃん。大型免許取得のお祝いみたいなもんだ。絶対転ぶなよなんて言い合いながら、ゼファー750RSのTちゃんとCB400SFの僕は中国道舞鶴道へ向けて出発!

 んん~。他人が乗る自分のゼファーを後ろで眺めながらの走行だったのだが……かっこいい。あ、誤解のないように言うときますが、Tちゃんが乗ってるゼファーがかっこいいんであって、ゼファーに乗ってるTちゃんがかっこいいわけではない。

 走り始めてものの10数分で、予定していた西紀SA(舞鶴道)よりもまだ20キロ以上手前の上荒川PAに入るTちゃん。

bar「どしたの?」
Tちゃん「ダメです! 行ってまいりますデス!」

 カール・ルイス並みのスピードで(たとえが古いな)トイレにかけこんだTちゃん。さすがに名塩を比べてもこじんまりとしたPAで施設といえばトイレのみ。僕がタバコを一本吸い終える頃、Tちゃんご帰還。

Tちゃん「サイコーでーす!」

豊受神社(元伊勢神宮外宮)

 その後は予定していた西紀SAをすっ飛ばし、福知山ICの手前にある六人部PAへ。途中、三田から篠山に入る辺りでとんでもない突風だったが、それにしてもいい天気。途中からは時々太陽も顔を出してきて、メッシュジャケットで風がす~かすかの僕には日光はありがたい。

Tちゃん「降水確率70%ってのは、どこに行っちゃったんでしょうか」

 福知山ICで舞鶴道を下りてR9へ。福知山市内までは信号もほとんどない代わりに退屈極まりないバイパスなのだが、市内ではご多分に漏れず大渋滞。すり抜けしたいのをぐっとこらえて、僕たちは牧交差点からR175にスイッチ。ちょっと行くと宮津市まで伸びている由良川沿いの快走路。

bar「こりゃまたたまらんね」
Tちゃん「すべての俗世間の垢が洗い落とされていくようです」

 宮津市へのアクセスにはR175の他に、ツーリングマップルで「豪快な2車線 丹後半島へ快走」と書かれているR176、有名な大江山の普甲峠を越える県道9号線があり、もし日本海沿いを考えるならもっと増える。距離的にはR176が最も経済的だが、僕たちはある目的があってとりあえずR175を辿っているのである。

 R176の分岐をそのままやり過ごし、僕たちはR175から県道9号線へ。その辺りから見えてくる「元伊勢神宮外宮・内宮 直進」という看板。そう。あの零下極限牡蠣づくしツーで訪れた伊勢神宮の元宮が、

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 なんと、遠く京都府日本海近くにあるというのだ。考えれば考えるほどよくわからないシステムだとは思うのだが、そこは日本の神宮の元締め・伊勢神宮。そのまた元宮なわけだから、きっと何か理由があるのだろう。まずは豊受神社。いわゆる「伊勢神宮の外宮」の元宮。

THE 閑散

 いくら平日(5月2日月曜日)とはいえ黄金週間だよ! ゴールデンウイークだよゴールデンウイーク! なのに、マジで人っ子一人いません。1月に行った伊勢神宮の賑わいを考えれば、あんなおばはん軍団でもまさに「枯れ木も山も賑わい」なわけだったのだ。

(つづく)