RIDER NOTES

BC-ZR750C乗りの残しておきたいログ

伊勢|1.雪の高見峠

序章

 全国4000万のbarちゃんファンの皆様、あけましておめでとうございます! 今年もどーぞよろしくお願いしますー。

 さて、新年一発目のネタは、いつから発足したのか、どのように成立したのか一切が謎のベールに覆われている謎の快走集団「泉州連合」の新年会を兼ねたツーリングだ。時はまだ新年三が日も明けない1月3日。まぁこれは僕の休みに合わせてもらったというだけで単純に決まっただけなのだが。

 泉州方面隊長のデンマークんから事前に連絡があったように、集合は午前6時30分。すると広域機動部隊長のイツキ君以外のメンバーがすでに集結済みだった。

てる君「4分遅刻ッスよ!」
bar「てへへ」

 ここでバイクの列に、どこぞのサイトで見たことのあるヨシムラカラーのインパルス。それが京滋方面隊長のモカ君であった。モカ君と挨拶を交わしたが、なにやら僕と同じ「かほり」を感じる。ひょっとして泉州連合最大のうっかり者として名を馳せた僕の後継者となれるかも…。そんな予感さえさせた出会いであった。

 ここで今回のメンバーをご紹介しよう。(今回は登場人物が異様に多い)

デンマーク

イツキ君

モカ

みっか~君

たっつー君

てる肛門

 さて、この日、泉州連合にとっては非常にオメデタイ日なのだ。というのも、しみちゃん(22歳・大学生・独身)という新しいメンバーが、よりにもよってこの極寒耐久ツーリングに参加することになっていたのだ。しみちゃんからは僕が家を出る直前に「エンジンがなかなかかからないので遅れそうです。すみません…」とメールがあったのだが……。

 そしてイツキ君はイツキ君で、以前のツーリングの集合場所にした別のコンビニに一人で集合してしまっていたとのことだったので、二人を待つことに。その間、デンマークんの今回の秘密兵器を拝見することにした。デンマークん曰く「別世界を味わえる」パンツであるらしい。しかもドラスタのセールでゲットしたらしく、価格も予想の半値。今年は言うてる間に冬は終わっちゃうだろうから、来年はひとつ狙ってみよう。

新メンバー・しみちゃんの悲劇

 そーこーしてるうちに5キロ先からでもわかるという爆音を轟かせながらイツキ君到着。あとは新メンバー・しみちゃんを待つのみ。するとここでメール。

「全然エンジンがかからなくて、今車からバッテリーとつないでるんですがさっぱりです。何かいい方法はありませんか?」

 むむ。メンバーの一大事。押しがけしかないと判断したメカニック部(部長はのびぃさん)のメンバーを引き連れて、僕はいきなりしみちゃんの家に押しかけた。

「ちぃーッス!!!! なになに?! しみちゃ~ん!!! いきなりのご挨拶だね~!!!! まぁこのくらい最初にブチかましとかないとみんなに覚えてもらえないかもね~。ガハハハハハハハ!!!!」といきなり馴れ馴れしい挨拶をしみちゃんにお見舞いしてやったのである。

 というのはウソで、しみちゃんの横にはわざわざ朝から車を出してイナズマにバッテリーをつないでいるオヤジ様がいらっしゃったので、「あのぅ、おはようございます。barって言います。とりあえず、なんとかしようと思ってメンバー連れてきました」と妙に礼儀正しい挨拶となった。

 さて、しみちゃんのイナズマ号はデンマークん渾身の押しがけではさっぱりだったので、ケータイでてる君とモカ君も呼び出して連続押しガケをしてみるものの、1時間近く悪戦苦闘しているうちに、セルも回らなくなってしまった…。

モカ君「あー。こりゃだめッスね……」←押しがけ中盤15分担当
てる君「行きがよくても帰りがね……」←押しがけ後半15分担当
デンマークん「気楽な距離じゃありませんしね……」←押しがけ前半15分担当
bar「そだねー」←見てただけ

 結局しみちゃんは泣く泣く断念。そのうちしみちゃんのオフクロ様も家から出てこられ、「すみません。もしよかったら、コレ、みなさんに…」。

 そう言って渡してくださったのは貼るカイロ。僕は基本的に真冬の筏の上でもカイロは使わないタチだったのだが、オフクロ様のお気持ちをありがたく頂戴することにした。このカイロが帰路の僕を救うことになるとは、誰にも想像がつかなかったのである。

 集合場所に戻った僕たちは状況を説明。新メンバー・しみちゃんには同情の声が止まなかったが仕方がない。

いざ出発

 そして出発……しようと思ったら、モカ君のインパルスのタンクに、何やら怪しげな物体を発見。

bar「何、コレ?」
モカ君「あ。コレはビデオっす。走行中のみんなを撮ろうと思って…」

 あんた、すげーよ。

 さて、気を取り直した僕たちは犬鳴山を越えて紀ノ川広域農道を経由し、とりあえずR24に出ることにした。お正月気分の車に詰まりながらも1時間後にR24のいつものコンビニに到着。ここで泉州連合の会則第64条を思い出さなければならない。

「朝の儀式は集合後、厳粛に執り行うべし」。この会則を知る者はメンバーでもいない。なぜなら今勝手に僕が作ったからだ。しかしこの会則を知ってか知らずか、みんなは清々粛々とコンビニに入り、順序よく儀式を済ませていくのであった。

 荘厳な雰囲気の中で儀式を済ませ、さぁ出発しようかと思っていると、特攻支援部隊長にして「肛門様」として幅広く活躍する、てる君から思わぬ報告が舞い込んだ。

てる肛門「総長!!!! 一大事デスっ!」
bar「どーした肛門。何を取り乱しておる」
てる肛門「泉州方面隊長のデンマークんが一人で何やら得体の知れない『栄養ドリンク』を買って、今まさに飲もうとしておりますっ!」
bar「なぬっ?! まだ1時間しか走ってないのに?!」

 見るとデンマークん、確かに栄養ドリンクを手にしている。おまけにカメラを向けると、まるでグラビアアイドルかキャンギャルのように、栄養ドリンクを片手ににっこり微笑んでポーズまでとる始末…。まだハタチかそこらのハズなのだが、あまりのしっかり者ぶりに、いつしか周りからはおっさんのように扱われているデンマークん。よほど老化が進んだとみた。

高見峠の憂鬱

 栄養ドリンクで愛と勇気を注入したデンマークんを先頭に、僕たちはR24で和歌山に別れを告げ、奈良県突入。その後R370にスイッチして五條を抜け、大淀、そして桜の名所として日本全国に有名な吉野の麓にある津風呂湖から県道16号で一気に伊勢街道(R166)に入ろうという魂胆だった。

 県道16号は僕も吉野から伊勢方面へ抜ける道としてよく使うのだが、鷲家川に沿ったこの道は小さないくつかの古い集落をつなぐ、狭いながらも交通量が少なく、山に囲まれた本当に走りやすく静かな道。沿道の民家も昔ながらの造りで雰囲気もとってもディスカバー・ジャパンでナイスな道だ。あまりに快適過ぎて、ろくに写真も撮らずに快走してしまうところだった。

 ある地点までは

ゆ、雪?! ( Д) ゚ ゚

みっか~君「あれって雪ッスか?」
bar「いや。あれは綿や。見なかったことにしよか」
たっつー君「よーできた綿……なワケがないでしょ!!!!!」

 しかたなく我々は緊急停車。

 先頭のデンマークんが、たまたま家から出てきたご近所の方に話を聞いてみると、この雪は数日前に降ったものが凍ってるだけで、ここ数日は降っていないとの情報をキャッチ。

bar「ちょっとーデンマークん。ホンマにこの先、ダイジョービなの? barちゃん、なんだか不安だなー」
デンマークん「大丈夫ッスよ~。地元の親しい方から『高見峠なんてへっちゃらへっちゃら。通れないワケないじゃん』ってゆーメールもらってますから」
bar「そっか。あの人間マップルの方々ね。それならだいじょーぶだわ」

(いえーい)

 ここでデンマークんなみの冷静さを持ち合わせていることから、監査部長を務めるみっか~君がバッグをがさこそ…。「いいチャンスなので、ここらで一回ルートを確認しておきましょう」と言いながらバッグから出したのは、もちろんツーリングマップル……

 じゃない方のでっかいマップル! そういやTちゃんもこれくらいでかい地図持ってたな。Tちゃんの概算ではツーリングマップルより4.7倍詳しいらしい。確かにツーリングマップルではさっぱり見当のつかないようなココでも、あっさりと見つけることができた。おそるべし巨大地図。

 そーこーしてるうちに、はらはらと小さい雪も降ってきたりして、僕たちはせっかくの記念にと青年部の集合写真を撮ってから、そそくさと出発したのである。

(左からモカ、てる、たっつー、イツキ、デンマーク……アレ? みっか~は?)

 小雪舞い散る県道16号線を進むと、すぐにR166と合流。進路を東に取って、今回のツーリング最大の難所・高見峠に向かったのである。こんなん(峠ではない県道16号での積雪)で大丈夫なんかいな……と思っていたのだが、今回の幹事・デンマークんの入手した情報によると、凍結しているとすれば、高見峠にあるトンネルの手前(吉野側)と向こう(飯高)の一部だけであろう、とのことだったので、そのままずんずん進んでみると、トンネルのはるか手前から、こんなカンジでした♪

 こうなるとバイクは車の轍だけを頼りに進むしかない。

(1個めの積雪凍結部を越えたところで休憩&作戦会議)

 車の轍はご存じのとおり2本。そのどちらを選択するかで生死が分かれることもある。あ、こっちの方が雪が少ないや♪ と思って突っ込んで行くと、どんどん雪が残ったままで、ひーひー言いながら進んで、ふと見るともう一方の方がはるかに雪が少ない……というのは、経験された方ならおわかりのハズである。僕はたまたま最後尾を走っていたのだが、目の前のみっか~君が雪に阻まれ(スタック)悪戦苦闘、どーにかこーにか進んで、恐る恐る進むと、その先ではイツキ君が道端で雪と戯れ、そーこーしていると今度はてる君が雪に埋もれかけている……といったカンジだ。

 時折スタッドレスを履いた車が僕たちを追い越していくのだが、車の中の暖房でぬくぬく状態の人たちの僕たちを見る目は「バカじゃないの?」といった軽蔑を通り越した、明らかな同情であったとだけ、ここでは記しておこう。

 僕たちは高見峠にたどり着くだけでとんでもない体力と精神力を使って、ようやく峠のトンネルに入ったのである。デンマークんとたっつー君とモカ君はどうやら先にトンネルを抜けたらしい。残るはトンネルを抜けた先にあるループ橋である。下りのうえに傾斜がそこそこあるループ橋でもし同じ状態だったら……ガードレールを突き抜けて、華麗に空に舞ってみせますというくらいの覚悟で長~いトンネルを抜けると……

 路面に雪なしっ! 凍結なしっ! 降雪なしっ! 空はまだ曇ってるケド、雲の隙間から少しだけ日の光が見えちゃったりしてるぢゃないの。神はまだ我々を見捨てておられなかったようだ。よかった…フツーの世界に戻れて。

 トンネルを出たところにあった休憩スペースに集まって、ひとしきり各自の奮戦ぶりを報告しあう泉州連合。

特にデンマークんの雪上での速度がひとしきり話題になる。

モカ君「お前、速すぎるって。一人ですいすい行ってたやろ!」
たっつー君「そうやそうや! 俺はいつ引き返そうって言うか待ってたんや!」
モカ君「お前、時速20キロは出てたぞ!」
デンマークん「そんなに出てた?

 その頃、後方で雪と戯れていらっしゃった方々は……

ご休憩中♪

 ループ橋からは一気の下り。あとはほぼ平坦なチョー快適ルートのR166だ。先頭のデンマークんが気を利かしてフリー走行区間に。嬉々としてすっ飛んでいったのは、もちろん広域機動隊長のイツキ君のCB、そして特攻支援部隊長・てる肛門のバリオスⅡ。あっという間に見えなくなりました。

 R166は僕にとってもお気に入りのルート。櫛田川という川に沿った道でアップダウンはほとんどないのだが、適度なカーブが連続するし交通量は意外と少ないし、走ればかなりの確率で気に入る人が多いんじゃないかな。見える山々や川の水面や川原の風景は真冬であるだけに寒々しかったけど、まぁそれもご愛嬌(どーせ実際に寒いんだし)。

 R166を通ってフツーなら道の駅・飯高に止まって休憩するところなのだが、青年部の強い要望により、その先にあるコンビニで休憩することにした。

 さぶい…だの眠いだの…と、青年部らしからぬ発言もそろそろ出てき始めた泉州連合。目指す伊勢はこの後、R368からR42に入り、県道13号を経由。そして人間マップルを主催するブルパパさんのお店で昼飯を食してから、伊勢神宮に参拝することにしたのである。

(つづく)