RIDER NOTES

BC-ZR750C乗りの残しておきたいログ

伊勢|2.神宮のご利益

来々軒歓喜

 R42を通るあたりから沿道の雰囲気はかなり変わり、車の数も圧倒的に多くなる。ここまで来るとR26を走ってるのと感覚はあまり変わらない。R42から県道13号に入ると周りは一面の枯れた田んぼ田んぼ田んぼ田んぼ田んぼ田んぼ田んぼ田んぼ田んぼ田んぼ田んぼ…。そしてその向こうには、これまた枯れた山山山山山山…。そこからややして県道(町道?)530号、いわゆるサニーロードの延長線上にあるのだが、まぁこのあたりになるとアップダウンもないし、たいしたカーブもないし、まぁあんましサニーロードっぽくはない。

 そしてしばらく走ると道に大きく出た「來々軒」ので~っかい看板。そこがブルパパさんのされている中華料理のお店、「來々軒」でアル。

ajinorairaiken-ise.jp

 駐車場にはいっぱいの車。ほとんどバイクを置くスペースがないほど車で埋まってたのだが、ちょうど出てこられた方が自分が止めておいたところに止めればいいと勧めてくれたので、そこにみんな停車。

 そして気づくと別のスペースには一台のバイク。それがデンマークんを筆頭に我々が伊勢に来るというのでわざわざ來々軒に来てくれた尚さんだった。が、空腹に耐えかねた僕たちは店に通されるなり挨拶もそこそこにメシにがっついてしまった…(尚さんスンマソン)。そんな尚さんをデンマークんに任せてがっついたメニューは、來々軒名物、その名も「おっぱい丼」。

 食い終わった我々は、すっかり骨抜きにされてしまった。それもそのはず。店内はほどよい暖房。そして僕たちが通された奥のテーブルは床暖房。そしてうますぎるあったかい中華料理。おまけに僕たちは積雪凍結の峠で雪と戯れて極寒の中を精神的にも戦いながらの到着である。これで眠くならないハズがない。

 残る問題は、この後だ。

bar「ねぇねぇ」
デンマークん「なんスか? 総長」
bar「伊勢神宮なんだけどさぁ…」
デンマークん「なんです?」
bar「行くのやめちゃおうよ」
デンマークん「そうですね」
bar「えっ?! いいの?!」
デンマークん「僕はこのまま伊勢に泊まっちゃおうと思いまして…」
bar「あんた、大物になれるよ…」

 するとここで、さっきまで女の子のような寝顔を見せていたてる君が飛び起きた!

てる君「何言ってんスか総長! 俺は何が何でも伊勢神宮に行きますよっ!」
bar「げっ。いつの間に起きたの?!」
てる君「僕は絶対に行きますっ!」
bar「どーしちゃったの、てる君…」
たっつー君「僕も行きたいデス!」
bar「うげっ! さっきまで重なり合うように眠っていたハズのたっつーまで…」
てる君「だって……。次、伊勢に来れるのはいつになるかわからないからデス…」
bar「今生の別れじゃないんだから…」

 ここで青年部の意見をまとめることにした。

モカ君「俺はどっちでもいいッス。俺って時の流れに身を任せるタイプなんで…」
bar「あ、俺は協調性も主体性もゼロやから、どっちでもいいよ」

 二人、がっちりと握手

いざ神宮へ

 というわけで、ブルパパさんと尚さんに別れを告げ、午後2時30分、僕たちは暴風吹きすさぶ中、伊勢神宮を目指して出発したのである。

 しかしマジで風が強すぎる。真っ直ぐに走ろうと思っても流される…。R23に出て一路、伊勢神宮へ! と思った矢先、イツキ君がペースダウン。半高速状態のR23の路肩にバイクを順次止めてイツキ君のところへ集合。

 とりあえず近くのお店の駐車場へ退避し様子を見ることに。はじめはガス欠か? と思ったが、どうやらかぶっただけようだ。しかし少しすると復活。気を取り直してGo!

 と思ったら、今度はR23を伊勢神宮外宮に向かって折れたところで再びイツキ君がペースダウン。GSの前の歩道に乗り上げて様子を見ることにする(ついでに僕たちは給油も済ませる)。

(いえーい)

 さすがにここまでくると、イツキ君も申しわけないやら腹立たしいやら…といった表情(よくわかる)。しかし、イツキ君のCBは、少しするとまたまた復活。不死鳥である。

 そこから伊勢神宮外宮は5分あまり。しかし初詣のこの時期、日本の神社の総元締めである伊勢神宮を、我々は見くびっていたのかもしれない。なんせ門前は警察の方々がわんさか出て交通規制。

 先頭を走るデンマークんが警官に尋ねたところによると、二輪は交通規制対象外、迷惑にならないところに止めてくれたらいいとのこと。しかし、しっかり者のデンマークんはぐるぐる道を回りながらも駐車場をちゃんと見つけて停車。

 夕方だというのに人波の途絶えない中、僕たちも正堂へ向けて砂利道を進み、やがて伊勢神宮外宮に到着。

 ただし内宮同様、内部での撮影は一切禁止されているので、入口で記念撮影。

 そしてそれぞれお賽銭を入れてから参拝。拝んだ内容はもちろん全員、「無事に帰れますように…」(-人-)ナムナム……だったかどーかは知らないが。

 その気持ちを行動を表すべく、僕たちは交通安全のお守りをゲッツするためにグッズコーナーへ。

 すると、なんと交通安全のお守りは、大きめのものではあったが、1つ1000円もするではないか。みっか~君やイツキ君らは次々とゲットしていたが、おこづかい制の僕はあっさりと諦め、小ぶりなお守りを愛する奥様の分と二つ買って伊勢神宮をおいとますることにしたのであった。

 ところで帰って写真を見てみると、伊勢神宮での写真はずいぶんと明るく写ってますが、本当は到着時点でこのくらいの暗さだったのである。

(みっか~君のデイバッグのリフレクターがかすかに光ってるし)

 伊勢神宮に着いた時点ですでに日暮れに差しかかっていたので、そこを出た頃にはすでに薄暮どころかしっかりと夜になりかけていた。

極寒の試練

 問題はイツキ君。かぶってくる関係で、あまりに低い回転では走れないということだった。ブルパパさんや尚さんからは、「伊勢道なんて遠回りのうえに高いから、久居というICから乗ればいい」というアドバイスをいただいていたのだが、イツキ君のCBを考えると早めに高速に乗った方が無難だという結論に達したので、帰りは伊勢神宮から一番近い、伊勢西ICから伊勢道に乗ろうと決めていた。

 ところがちょっと道に迷ってしまい、尋ねたおっちゃんの情報によると、何かの関係で現在伊勢西ICは封鎖されているらしい…。それなら次に近い玉城ICから乗ろうと、僕たちは背後に迫りくる「極寒」という敵に恐れをなしつつ、県道32号、37号、13号、65号を走り継いで、先を急いだ。

 玉城ICまでの県道オンパレードは、辺りがすっかり暗くなってきたこともあって、景色を楽しむ余裕もない。知らぬ間に玉城ICに着き、高速に乗る前にやってきてしまった寒さにややビビりながら伊勢道に乗ったのである。

 次の休憩場所として申し合わせていたのは、伊勢道・安濃SA。玉城ICからわずか40キロだが、それでも十分であると僕は踏んでいた。だって、サブいんだもん。

 お正月休み真っ盛りということもあり(Uターンラッシュでもあり)、伊勢道もなかなかの交通量。しかも高速の交通案内の電光表示板には、「芸濃-四日市東 渋滞32キロ」の文字が…。

 幸いにして渋滞方向が東名阪(名古屋方面)だったので多少は気楽だったが、それでも関JCTは通らなくてはならない。げんなりしながらも、とりあえず安濃SAに到着。そこは芸濃ICよりも若干南にあるため、案の定渋滞を目の前に休憩を貪ろうとする僕たちのような方々がた~くさんいらっしゃった。

 こちらも案の定、メンバーに疲労の色が濃く見てとれた。

たっつー君「いやぁ。サブいわ暗いわで、いつ休憩してくれるのかと不安でしかたなかったッス」

 そしてもう一人の生贄が…。

モカ君「もうダメ…眠くて眠くて…」
bar「昨日は何時に寝たの?」
モカ君「遠足前の小学生みたいに興奮しちゃって眠れなかったッス…」

 しかし、僕たちはのんびりばかりもしていられない。なぜなら、これから通る名阪国道が寒さゼッコーチョーなルートだからである。実はブルパパさんや尚さんたちから、

「日暮れまでに山添あたり(三重と奈良の県境)は越えとかんと、ツラいやろう…」

 と言われていたのだが、山添どころの騒ぎではない。僕たちは寒さをこらえて出発することにした。やはり…というか、関ICで名阪国道(奈良方面)はがらがらだったのだが、東名阪(名古屋方面)へとつながるルートはチョー渋滞。よかった大阪府民で……。

 名阪国道は名古屋~京阪神の人にはお馴染みの「なんちゃって高速道路」。「信号が一つもない」「走る車の平均速度が一般道とは明らかに違う」「交差する道とはICという名前で記されている」「出ている交通案内板が緑色である」という点では高速道路なのだが、実は「制限速度が60キロ」「覆面パトカーが異様なほど多い」そして「無料である」という点では明らかに一般道である。しかも三重県の関から、伊賀、上野、都祁(つげ)、天理と続くルートは明らかに「山の中」。伊勢から平野部を南北に走る伊勢道とは平均気温も明らかにちが~~~う。安濃SAで多少あったまった(無料の緑茶で)おかげか、名阪国道に入ってしばらくは、

「なんだ。言うほど寒くないぢゃん」

 なんてよゆーをかましていたのだが、伊賀あたりでは伊勢道とはケタ違いの寒さに徐々に支配され、柘植(つげ)ICあたりで、「気温2℃」なんて電灯掲示板を見てしまってからは、ひたすら垂れてくる鼻水と格闘しながらの走行となった。鼻水がズルズル…あんまり垂れてくるもんだから、このまま脱水症状になったりはしまいかと、若干心配になったりしたのだ。「鼻水のタレすぎで脱水症状」…これほどかっこ悪いことはない。

 早く針テラスに着いてくれ~、とひたすらの一文字で、寒さと鼻水に耐えながらかっ飛ばすと、やっと見えてきました「針TRS」の文字 。

 針TRS(テラス)はメシを食う店が山ほどあるし、温泉まで完備しているし、高速道路のSA以上の設備を誇る休憩所なのだが、沿道の名阪国道が一般道であるため、もちろんSAではなく「道の駅」である。その休憩所に入った途端、僕たちはほっこり。安濃SAでは立ったまま眠っていたモカ君も、「復活しましたデス!」と高らかに宣言。

 しかし寒いことに変わりはない。しかもこの時点で、すでに時刻は8時。腹へったな…と思ったその時、イツキ君とみっか~君が、「ダメだ!!! 我慢できん!!! もうメシ食っちゃう!!!!」とカレーライスをゲットし、ぱくぱく。

 寒さ対策として、デンマークんがバッグからごそごそとホカロンを出しているのを見て、僕は出発前にしみちゃんのおふくろ様からもらった貼るカイロを思い出した。まぁないよりはマシだろう…と、元々カイロの威力をあまり感じたことのない僕は、あまり効果を期待することもなく、ミゾオチあたりに貼っておくことにした。

 そして最後のルート確認。すると、東大阪に下宿するてる君が「俺、このまま西名阪の松原で下りて、東大阪に帰ろうかな…」と弱気なウンコマン発言。そうしたら、たっつー君とモカ君も、「俺も泊めてもらおっと」と同調するではないか。まぁこの寒さだ。泉州地方まで走って帰ることを考えたら、東大阪に緊急避難したくなる気持ちはよくわかる。

 というわけで、西名阪に入ったら阪和道との分岐点である松原で、東大阪組と泉州組に別れることにした。

 なんだかんだ言いながら30分以上も休憩した後、僕たちは最後のひと踏ん張りをするべく出発。先頭デンマークん、その後をモカ君、てる君、たっつー君、イツキ君、みっか~君、そして最後尾の僕という順序で再び名阪国道に戻ったのであるが、戻った途端、なんとイツキ君のCBが突如スローダウン! しかも名阪国道の速い平均速度と、あまりに唐突なスローダウンで、イツキ君よりも先に走っていた4名は全く気づかずに先に行ってしまった。というか、名阪国道は気づいたとしても止まれるような道ではない。

 その先にあったちょっとしたスペースに止まれたみっか~君と僕はイツキ君のところへ。やはりかぶってきたらしい。

「だんだん、かぶる回転数が上がってきました…」

 聞けば8000~9000回転の手前だとかぶってくるらしい。伊勢では5000~6000回転以下ではダメだとのことだったから、かなり上がってきている。いくら名阪国道とはいえ400ccで8000~9000回転というのはかなりツラい。しばらく置いておけば症状もよくなるだろうとのことだったので、とりあえず目の前の一本松ICを下りたところで様子を見ることに。

 みっか~君と僕はとりあえずデンマークんらにメールを送って状況を説明しておき、このまま名阪国道はやめて、R25の旧道で天理に出て、大和高田を経由して外環(R170)で帰る、もしくは天理で下りて大和高田を経由して外環で帰るというルートも想定していたのだが、そして少し経つと、CB復活。調子もまずまずとのことだったので、僕たちは再び名阪国道に上がった。

 ただし回転数を上げたまま走るため、時速60キロをキープして走ることにした。僕たちはハザードをつけながら走ったのだが、制限速度だから誰に文句を言われる筋合いではないのに、そこは「なんちゃって高速」の名阪国道。最後尾を受け持ったみっか~君は、後続の車に煽られまくっていた。そして僕は再び鼻水地獄に襲われながらの走行でもあった。

 福住IC、そして天理市街の夜景が一望できる高峰PA、五ヶ谷ICを順調に越え、西名阪との接続も目前の天理東ICに差しかかったところで、再びイツキ号スローダウン。僕たちはちょうどあったバス停用の車線に入った。

 時間をおいて何度もチャレンジするがダメ。この時間を利用してデンマークんらに連絡をとってみると、彼らは香芝SAにいるらしい。

 そのうちCB号はセルすら回らなくなってきたようで、しかたなくJAFを出動させることにした。しかし、なんとJAFの返事は「1時間以上はかかります」とのこと。

 この時点で時刻は午後10時過ぎ。1時間は時間がかかるとのことだから、順調に行って11時にJAF到着。安全な場所に移動してすったもんだして11時30分。出発して泉州に帰れるのは12時30分。

 そうタイムテーブルを作った僕とみっか~君とイツキ君は、それぞれ連絡をすべきところへケータイで連絡。泉州連合には、とりあえず東大阪組のてる君、たっつー君、モカ君には帰ってもらい、デンマークんにはイツキ君を2ケツしていく関係上、残っておいてほしいと伝えておいた。しかし連絡が済むと、あとは極寒との戦いである。僕はエンジンをつけっぱなしにし、ヘルメットをかぶり、鼻水をすすりながらエンジンで暖をとりながらふと気づいた。

 ミゾオチに貼ったカイロが異様にあったかい。。。。。。

 しみちゃんのおふくろ様ありがとう! そして今までカイロを軽くみていたことを反省。いやマジでね、この時あのカイロがなかったらどーなってたか…。

 JAF到着まであと30分になったところで、どーせ自宅に乗って帰れないのなら…と、イツキ君は名阪国道にCBを放置プレイすることにして、JAFに断りを入れた。バス停の歩道にCBを乗せ、ロック。

 イツキ君はみっか~君が後ろに乗せて、僕たちはデンマークんの待つ西名阪の香芝SAに向かった。そこから香芝SAはすぐ。時刻にして、すでに11時になっていた。僕たちはようやく…といったカンジで二輪用の駐輪場に向かうと……みんな待ってた。

 久々に今回のメンバー全員が揃った休憩所。ひとしきり今回のツーを総括しながらも、ここで東大阪特別派遣隊の結成式も行ったのである。

東大阪特別派遣隊の(左から)モカ監査役、てる隊長、たっつー副隊長

 僕たち泉州本隊と東大阪特別派遣隊は松原JCTで別れ、そこからは阪和道をひたすら一直線。相変わらず鼻水を舐めながら(だって垂れてくるんだもん…)ふところのカイロに感謝しつつ、イツキ君を乗せたみっか~君もいたので岸和田SAでも休憩。その後我々は上之郷ICで一般道へ。僕はそのまま関空連絡道でR26に出て、天下一品泉佐野店で飯を食おうと思っていたのだが、あまりの鼻水にとりやめた。

 帰宅したのは12時40分。すぐに風呂に入って、ばったんきゅ~だった。

 今回のツーの教訓は、「カイロの威力を舐めてはいけない」。そして、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「タレまくった鼻水に、味はなくなる」

(おしまい)