北陸道を金沢西ICで降りてからしばらくは北陸道と並行しながらR8を走る。県庁所在地だけあって 金沢のくせに 車の数もハンパないがやむを得まい。ここは考え方を改め、「スピードを出さないようにしてやろう」という神の思し召しだと思い込むことにして県道299号線へ左折。妙に赤茶けた道をひたすら海際まで進んで右に曲がった途端、いや~な予感しかしない、やたら重そうな低く黒~い雲が目に入る。
この道を直進すれば、のと里山海道(旧能登有料道路)に直結するため、迂回路はない。ここは突撃あるのみ!
カーンとヘルメットに何か軽いものが当たる音がしたと思ったらもうおしまい。あ、と思う間もなく大粒の雨の襲来だ。本当に雨は頭をめがけて降ってくる。
幸いなことに雨はものの数分で気が済んだのか、履いていたジーンズが多少濡れて気持ち悪くなったくらいで無事にのと里山海道に乗ることができた。
昔は確か1000円くらいの有料道路だったが、今じゃ無料開放。いい時代だわ。すぐ側まで迫る海と砂浜と晴れ間に逸る心を抑えたのは、理性的な激しい自制心である。
というのも真っ赤なウソで、コレである。
のと里山海道を看板に従って今浜ICで降りたら、本日のメインである千里浜なぎさドライブウェイ。
看板ってこんなんやったっけか…と思い起こしてみたら、ここに来るのは実に35年ぶり。そりゃ入口の看板なんて覚えているはずがない。
風は強烈だが晴れている週末。多くの観光客に紛れて、いざ!
当たり前だが砂浜を波打ち際まで走れるのは日本ではここしかない。
二輪を止めてパシャパシャと写真を撮っているのはぼく以外には見当たらなかった。昔は車よりも二輪の方が多いくらいのイメージだったけどなぁ、なんて思っていた。
明らかにインスタ映えを狙ってカップルやグループがポーズをとって海をバックに車と一緒に自撮りしていたり、波打ち際を車で爆走するのをGoProで撮ったりしている姿がそこかしこに見られたが、SNSや動画が全盛の今であっても人間がやってることはそんなに変わるもんでもないんだな。ぼくにしたって構えているのが写ルンですからスマホに変わったくらいのもの。
ちなみに写ルンですで撮ったたくさんの写真は、いつの間にかぼくの手を離れてどこかに散逸してしまった。デジタルとアナログを比べてどうこう言いたいわけではないけど、どっちもどっちだな。
なーんとなくだが走れる砂浜の幅が昔より狭くなっているような気がしなくもないなぁ、などとも感じていたのだが、後でネットを覗いてみたら、やっぱり浸食のせいで一時、車両の通行を禁止・規制するほどの事態になっていたようだ。地元が貴重な観光資源として保全してくれてることも知った。ありがたや。
北側まで走り切ったら、今度は写真を撮るのも一切やめてただひたすら雰囲気を楽しむためだけに南まで走り、そしてもう一度北側まで。要するに合計1往復半を走って砂浜を満喫したら、千里浜ICから再びのと里山海道へ。そして西山ICで降りたら、県道116号~R249~県道301号~同36号と乗り継ぐ。
ここも知らぬ間にスロットルを回しそうになるが、ここも例のポスターを思い出してひたすら自重する。
県道36号線に入って少しすると見えてくる能登金剛・巌門園地の看板。ここは来た記憶がないので、是非とも立ち寄りたかったところの一つだ。
四郎号を止めて看板の地図を見てみると、ここから数分歩いたところに巌門はあるようだ。いざ出撃! と思ったら、のっけから海鮮焼きのいい匂いが進軍を阻む。
なんとか誘惑を断ち切って先に進むと、ぐわーんと下りていく階段。
こういうのを見ると、「帰りは上りかよ…」と憂鬱になってしまうのだがここでは一旦忘れることにして、足元に気をつけながら下まで行ったら、思ってもみなかった洞窟への進入路。
人がすれ違うのも体を避けなければ難しい、長くはないが予想以上に真っ暗な洞窟を抜けた先はこんな感じ。
もちろん体を屈めなければならない高さだが、一瞬、高千穂を思い起こさせるようなアングルの写真を撮ったら、やっと巌門とご対面。
親子連れのお父さんは、目の前の奇岩景勝には目もくれず足元の石ころに夢中になって大声ではしゃぐ娘さんの相手に大変そうだった。娘ちゃんもかわいかったが、まだ若いお父さんもがんばれ。
影になった端っこに座って波の音を聞きながら少しだけボーっとして汗を引かせたら戻ることとする。帰りはまだ新しさも感じられる「幸せのがんもん橋」から景色を堪能。
さて、今日はぼちぼち宿へ向かうこととする。巌門園地の駐車場でGoogleマップをみると宿までの距離は50Km弱。四郎号のオドメーターからガソリン残量を推測するにギリギリ足りるか足りないかだなぁと思いながらR249バイパスを走り出すと、富来の市街地でGSを発見したので念のために給油しておく。
ガソリンさえ入ればこっちのもんだ! とばかりに途端にアクセルを回したくなる気分を抑えて制限時速+αていどでのんびり走行。
總持寺の門前町(もんぜんまち)として栄えた旧門前町からR249は再び海際を走る。ほどなくして「トトロ岩」と名付けられた岩礁。ここも見た記憶がなく、ついったーで見ていたので一度来てみたかったノダ。
ただ、まぁそう言われればそう見えるかなぁといった感じだったかな。手作りでトトロらしい両目をつけていたが、わかりやすくはなったのだろうがちょっと作為的だとも思えてしまうのはぼくの心が歪んでいるせいか。
ここからはひたすらR249を進んで本日の宿へ。
「交通安全運動!」と心の中で呪文を唱えながら走り、本日のお宿・ルートイン輪島さんに到着したのであった。
(本日のルート)
(つづく)