rider notes

BC-ZR750C乗りの残しておきたいログ

北陸|6.雨晴海岸と富山の夜

 内陸を走る能越道の氷見北ICを下りたら、今度はR415を富山湾へ。氷見漁港からは漁火ロードと呼ばれる県道をひた走る。夕方も少しずつ近づいてきているが、今日一番の青空じゃないのか? くらいの快晴に海鳥も嬉しげだ。しらんけど。

 西條中学校のあたりでぼちぼち車も多いR415に戻ってのんびり進むと、そこが雨晴海岸。道の駅が見えてきたので駐車場の端っこに滑り込む。

 雨晴(あめはらし)という珍しい地名は、兄・頼朝に追われて奥州に落ち延びるときに通りかかった際、降っていた雨が晴れるのを待ったという源義経の伝説から付けられたと言われている。踏切から義経岩の前を横切って海岸に下りてみると、ものすごい風で波立つ富山湾越しにかすかに立山連峰が望めた!

やっほーぃ

 昔来たときには曇っていて笑うくらい全く見えなかった立山連峰が、頂あたりだけでも見られただけで幸運だ。しばらく見とれてしまった。

暴風にも近い風でうねる大きな波を砂浜から思い思いに眺める観光客たち

 国道沿いにある「日本一美しい道の駅」とも言われる道の駅 雨晴からも立山連峰を眺めていると、

 すぐそばを走るJR氷見線のたった2両の電車がやってきた。下灘駅でも餘部駅でもそうだったが、なぜだかこういう運だけはある。

 ここ雨晴海岸から本日のお宿がある富山市内までは1時間ほど。4時半を過ぎたあたりなので、渋滞も考慮してそろそろ向かうことにしよう。R415を庄川あたりからR8(高岡富山バイパス)に乗り換えて東進すると、遠いけれどかすかに立山連峰が見える。

 バイパスは本来、ただ時間を短縮することだけを目的にしているから味も素っ気もないのが普通。帰宅ラッシュが近くなってだんだん車が増えてきたが、日本屈指の連峰を眺めながら気分がよく走れるバイパスなんてそうないんじゃないか? 

 ただ残念ながらいつまでもR8を走り続けるわけにもいかない。市内へショートカットするため呉羽山公園に向けて県道207号線へ。そこから県道208号~同56号~同207号の神通大橋で神通川を渡ると富山市内に入る。

 ほどなくして、富山駅近くのパークイン富山さんにあっというまに到着。

 ホテルの周囲にあるコインパーキングが意外にも(と言っては失礼だが)満杯だったのでチェックインの際に聞いてみると、「昨日からお祭りがあるからか、いつもよりお客さまも多いですよ」とのこと。北陸では祭りが流行ってるのか?

無事チェックイン

 部屋で一服したら、晩酌のためのお店探索を兼ねてまずは富山駅へ。

 フロントのお姉さんが言っていたように、ハッピを着た若い女の子たちが黄色い声を上げて楽しげに走りながらぼくを追い越していく。びっくりするくらいキレイな富山駅のその駅前は、週末ということもあってかびっくりするくらい賑わっていた。

 路面電車が走っている街にはなぜか惹かれる。

 肝心の晩餐だが、大通りに面したお店はどこも見たことのある大手チェーンばかりでどうにも食指が動かない。「富山ブラック」という地元ラーメンの立て看板が目に入り、「今晩はラーメンだけで終わりか?」と自問自答しながらも、これだけ大きな街なら裏路地に入ればいいお店はあるはずだという直感だけでうろうろしてみた。

 何軒かの居酒屋もあるにはあったけど、店構えの雰囲気がそこはかとなくやる気を喚起してくれない。

 それでも諦めずに探索を続けていると、ここを路地裏と呼ばずしてどこを路地裏を呼ぶのだと思えるような、要するに不気味極まりない路地の奥に小さな赤提灯発見。

 興味本位で進んでみると、

 いい加減腹も減っていたので、ここは突撃あるのみ! 暖簾をくぐってみると、すでに3人の先客と若いママが楽しそうに盛り上がっているカウンターだけのこぢんまりとしたお店だった。入った瞬間、ここは正解だとわかった。

 ビールを頼み、お通しの里芋のそぼろ煮をつついていると、「このへんじゃ見かけない顔ね。どちらから?」とキレイだがいくぶん気怠そうな雰囲気のママ。

 こ、これは……映画でよく見るシーンやん! と内心歓喜しながら「大阪です」と答えたところから一気に先客さんと話が盛り上がり、少ししてからやってきた1人の方と合わせ、みんなで楽しく話ができた。

 おっさん同士の会話で盛り上がるといえば下ネタと相場は決まっているのだが、ここでは本当に、絵画の印象派新古典主義の連続性からうどんのコシの要不要、果ては麺類の嗜好と文化論といったことまで興味深い話が延々と続いたのだった。

めちゃくちゃ久しぶりのヒットでした

 ついつい酒が進んでしまい、ホテルまでの道をふらふらと気分よく歩いて無事帰還。風呂から上がってみると、そう遠くないところからマイクの声が聞こえ、挙げ句に打ち上げ花火らしき音までドンドコ聞こえたが、すっかり気分よくベッドに寝転がってしまったぼくはそのまま安らかに眠ってしまったのだった。

(本日のルート)

(つづく)