普段は土日であろうとも勤労している僕が奇跡的に土曜日に休めると決まったところから今回は始まる。
すぐさま、つじこへメール。なんとつじこは仕事で金曜日にこちら(大阪界隈)に帰ってきており、土曜日のうちに新宮まで戻る予定であるとの情報をキャッチした。その新宮行きに同行することにした。
待ち合わせは土曜の朝10時。場所は阪和道の紀ノ川SA。我が家からは近いので、こりゃ楽ちんだわい......と高をくくってたら、朝になって、
「やっぱり9時半集合!」
Σ(゚ロ゚;)
ソッコーで用意をして、すぐさま出発。で、到着。
中に入ると、これまた久しぶりのつじこが朝の9時半からカツカレーを食ってました。
bar「おひさ~!」
つじこ「お~。おひさ!」
あれこれあって1年以上会ってなかったわけなのだが、なんだかんだ喋ってるとあっという間に昔に戻る。
つじこ「んじゃさっそく、インカムつけますか!」
今回の新宮同行では、つじこが入手したインカムを堪能しようというのが主な目的である。いろいろと注意事項を聞き、ではとりあえず次のPAまで行ってみようというわけで紀ノ川SAを出発。
つじこ「聞こえる~?」
bar「おぉ! すげー!」
走りながら喋られるというのは、ものすごいカルチャーショックである。しかし、
つじこ「んん~」
bar「どうした?」
つじこ「風切り音がけっこう入るなぁ」
bar「あ、そう?」
つじこ「おぅ。声は聞こえるけどな。俺のはどう?」
bar「風切り音はほとんど聞こえんな」
解説しよう!(タイムボカン風に) 僕のヘルメットはなんちゃってアライのヘルメットであり、つじこのヘルメットはちゃんとしたアライのヘルメットなのである。
会話をしながら走ってると、あっというまに着いた湯浅あたりにあるPA。
bar「いや~。喋りながら走ってるとあっという間やなぁ」
つじこ「ほんまや。あ、そうや。なんならバイクだけやなくて、ヘルメットも交換してみる?」
バイクを交換してみるというのはよくある話であるが、ヘルメットまで交換するなんてあまり聞いたことがない。しかし、僕のなんちゃってアライの風切り音がどんなけすごいのかを体感しておけというつじこの愛情である。
交換して、いざ走り始めてみると、
つじこ「あのぅ......」
bar「なんすか?」
つじこ「シールドが強烈に汚いんですが...」
bar「そーいやシールド磨くの忘れてた」
つじこ「あのなぁ...。あと、もう一個あんねんけど」
bar「え。まだあんの?」
つじこ「風の巻き込みがすごい! これじゃスピード上げたら風切り音が入るはずや...。ところで俺のヘルメットはどうよ?」
bar「快適~。風切り音なんざぁまったくといっていいほど聞こえんぞ。このまま新宮まで行っちゃう?」
つじこ「なんでやねん」
bar「俺もインカムほしーなー」
つじこ「いや。その前にヘルメットやろ...」
会話しながら走れるという楽しさ! バイクの弱点の一つに「孤独である」ことがある。その「孤独」を紛らすことができるわけだから、こりゃええわ。
それにしても、ちゃんとしたアライがこんなにすごいとは...。
bar「いやぁ。このヘルメット、ええなぁ...」
つじこ「ちゃんとしたヘルメット、買いぃな」
bar「ラッキー号もエンジンよー回りますなぁ。こりゃたまらんわい」
つじこ「ふっふっふっ......。あれからもいろいろカスタムしましてな」
bar「ん? この股間に貼ってるパッドか?」
つじこ「よー気づきましたな。でもそれはまだ序の口」
bar「ほほぅ。んじゃTZRのテールランプか?」
つじこ「見てるなぁ」
bar「見逃すはずがあらへん」
つじこ「ふっふっふ...。まだありまっせ~」
bar「この煙草入れか?」
つじこ「げげげ。バレてましたか?!」
bar「こんなんすぐ気づきますがな」
つじこ「でも、まさかまだあるとは思うまい」
bar「その『まさか』なんやが、まさか緑のクマちゃんキーホルダーじゃないよな?」
つじこ「......ま、参りました」
bar「ふっふっふ......」
とまぁ、こんなしょーもない会話をしながらずっと走れるんやから楽しいことこの上ない。
高速は田辺まででおしまい。田辺でいったんガス注入した後はR42を走りながら、
つじこ「あ。キレイなおねえちゃん!」
bar「え! ど、どこ?! あ、おった! あぁぁぁぁ~」
つじこ「どないしてん」
bar「カーブでふくらんだっちゅーねん!」
などというアホな会話から、
つじこ「左のウインカー、付いたままでっせ」
といったお得な情報まで、インカムならほんまに楽しめる。
つじこ「おぉ」
bar「どないしてん」
つじこ「手元の温度計が16℃を指しております」
bar「おぉ! そりゃあったかいハズや」
やっぱ陽射しがある分だけあったかい。この日の大阪の予想最高気温は10℃。それに比べて南紀はやっぱりあったかい。そんな中、我々は昼飯をどーするかという議題について討論しながらR42を走っていた。
bar「悩むなぁ」
つじこ「『かつを』か『マグロ』か?」
bar「やっぱり『かつを』や! 初志貫徹!!!」
というわけで、久しぶりにやってきました『萬口』。串本の駅の近所にあります。
ちなみにお店の名前である『萬口』をどのように読むかは、読者の皆様の見識にお任せする。
ところで、なぜ先ほどからわざわざ『かつお』ではなく『かつを』を表記しているのか? それは、お店にこういう看板があるからである。
つじことのメールで何度か「かつお茶漬け」と書いたところ、
つじこ「『かつお』ちゃうで。『かつを』や」
とわざわざご指摘をいただき、今回まさにその指摘が正しかったことを再認識したのである。
さて。
念願のかつを茶漬けを堪能した僕たちは串本から熊野灘を北上。ちょうど橋杭岩に指しかかった時、いきなり、
つじこ「ここのうすかわ饅頭、激ウマやで」
bar「なぬ」
といった耳寄りなグルメ情報まで瞬く間に入手できるインカム。ちょうど橋杭岩の駐車場の目の前にある和菓子屋さんで、ちょろっと2人でつまむ用に3個と、うちへのお土産用にと、つじこがわざわざ買ってくれたのだった。
つじこ「俺、妻帯者のツレの家族からはすこぶる評判悪いからな。こんなんで点数稼がなアカン」
そこから新宮のつじこのマンションまでは30分ほど。久しぶりのつじこの部屋には見慣れないポスターが。
bar「これ、ダレ?」
つじこ「何を言うてますのん! 『少女時代』やがな!」
bar「あぁ。そういや、前にそんなこと言うてたな」
数か月前、つじこから「最近『少女時代』にハマッてますねん」という告白メールを突然送られ、頭が?マークのままyoutubeなんかで検索して見たのだが、どこがどーいいのかさっぱりわからんままだった。その旨をお伝えすると、
つじこ「それはいかん! 是非DVDを見て『少女時代』のかわいさを認識してもらわな! はい! そこに座って!」
bar「は、はい!」
で、さっき買ってくれたうすかわ饅頭をほおばりながら、つじこが取り出したDVDを延々見せられました。
まぁ、確かにうちで見た動画よりはかわいいのは認めよう。そしてふとテーブルの上を見ると、
いたるところに『少女時代』が溢れていた。
うーむ......。今回のツーリング? では、インカムとヘルメットの威力をまざまざと見せつけられたのだが、もう一つ、『少女時代』のかわいさも認識できたので、まぁ、ヨシとするか。何がヨシなのかよくわからんけど。
って、気づいたら、
知らん間に、うちわ持って帰ってもうてるやん!!!!