rider notes

BC-ZR750C乗りの残しておきたいログ

阿蘇|2.八幡浜の夜

 徳島の山中で間違いなく遭遇するであろう豪雨のために完全防備で出発したボクたちは徳島市内の見事な渋滞を華麗にパスし、吉野川を渡ってICから徳島道へ。豪雨が待っているのは確実なのに高速に乗らねばならないというツラさ。ここでふと思った。知らない方が幸せなのではないか?

bar「おぉ。前見てみ。すげー雲......」
つじこ「みなまで言うな。んじゃ昔を思い出して、しりとりでもしますか!」

 二人して「あ~るチヌ釣り研究会」をやっていた頃から、ヒマな時の「ケツ出し」と「しりとり」は定番である。

bar「お題は?」
つじこ「では『懐かしすぃ~芸能人』ってのはいかが?」
bar「お。いいですな。では、先生からどーぞ」
つじこ「ピンクレディー。はい、『い』」
bar「い、い、い……。井上順一!」
つじこ「おぬしやるな……。ち、ち、ち、ち……地井武男!」
bar「おぉ。最近TVではご無沙汰ですな。……お、お、お、お……岡部まり!」

 なんてやってたら、あっという間に辺りは暗くなり、徳島県三好あたりで予定通りの豪雨。結局、徳島ICから松山道の大洲ICまで3時間ずーっとしりとりやってました。

 大洲ICで高速を下り、地方独特の夜の国道の陰鬱さを感じていたところで、暗闇に煌々と明かりを照らしていた明屋(はるや)書店を発見。

 ようやく念願のツーリングマップル購入&休憩。

bar「あともうちょいやな~」
つじこ「忘れてないやろな?」
bar「はい?」
つじこ「次はbarの番。『や』やで」

 そう。しりとりはまだ続いているのであった。

 そこからはR197をひた走り、9時ちょうどにスーパーホテル八幡浜に到着。

www.superhotel.co.jp

 ダブルベッドとロフトベッドが付いてる部屋で部屋代が1泊7980円。一人あたり約4000円。これで朝食付きである。貧相なのか豪華なのかさっぱりわからんまま、おそるおそる部屋に入ってみると……

 特別豪華でもなく、かといって貧相でもなく、清潔感があるし十分じゃないか。ビジホと考えると味気もなんにもないけど、この値段だもの。

 とりあえず晩飯を食うためにホテルを出発。晩の9時過ぎでホテル近くの商店街はこのありさま。

つじこ「う~む……。なんだか陰鬱なムード」
bar「なんだか、ではなく、明らかに、です」

 後になって調べてみると、かつての八幡浜は「四国のマンチェスター」と称されるほど産業が隆盛し、四国で一番最初に電燈がついたのも、愛媛県で一番最初に銀行が開業したのも、ここ八幡浜だったらしい。しかしながら、現在の年齢別人口分布で20歳前後が最も少ないところをみても、昭和45年から5年ごとの国勢調査で毎回2000~3000人ずつ人口を減らしているところをみても、地盤沈下の激しい典型的な地方都市のようだ。

 歩いていると、ふと目にとまった一軒のお店。

つじこ 「いっとく?」
bar 「いっとこ!」

 テーブルが三つだけのこぢんまりとした、おばちゃんが一人でやってるようなお店。メニューを見ても「定食」といえるほどのものはなく、とりあえず八幡浜が町おこしでやってるっぽいちゃんぽんを注文。

 じゃこ天やらかまぼこが有名っぽい(お店がいっぱいあった)八幡浜らしく練り物の多く入ったちゃんぽんを、店内のテレビで「妖怪人間ベム」を見ながらおいしく完食。ごちそうさま。

 シャッターびしゃびしゃの商店街では他に行くところもなく、ホテルへ直帰。戻ったら作戦会議だ。今のところ、とりあえず決まっているのは「佐田岬にある三崎港から国道九四フェリーに乗って大分に渡ること」だけである。

www.koku94.jp

つじこ「やまなみから阿蘇をぐるっと周って八幡浜に戻ってきて1泊。その後は行きと同じルート、ってのはどうや」
bar「最もあり得るパターンやなぁ。しかし3日目に今日と同じルートを通るのは徒労感が著しくないか?」

二人「うむぅ…」

bar「せや。やまなみから阿蘇、熊本へ抜けて1泊。その後は下関から山陽道を一気に爆走するのはどうよ」
つじこ「火曜からガンガンに仕事やからあさっては余裕もって帰りたいからイヤ」
bar「わかる」

二人「うむぅ…」

つじこ「せや。ここ(八幡浜)から四万十経由で高知へ抜けて1泊。その後は室戸岬経由の太平洋沿いを走る、ってのは?」
bar「九州に行くコンセプトが消滅しとるがな。四国のした道を舐めたらあかんと言うてたのは先生ですぜ」
つじこ「忘れとった」

二人「うむぅ…」

bar「ここはいっそのこと本州と四国の3本の橋を制覇するっちゅーのはどうや」
つじこ「舌の根の乾かんうちに九州行きを忘れるとはどういうことや」
bar「バレたか」

二人「うむぅ…」

bar「ここまできたら必殺技や」
つじこ「何よ」
bar「阿蘇界隈まで走って、大分から大阪までフェリーってのは」
つじこ「なるほど。ほな、スマホで予約してみよう」

 やおらスマホを取り出したつじこがぶつくさ言いながら指先を駆使してみたものの、「よーわからん」のひと言で本日は終了。とりあえず九州に渡ってから考えようということになり、風呂に入って就寝。つじこの「不規則的爆裂いびき特集」をBGMに、健やかに眠ったbarちゃんなのであった。

(つづく)