絶え間ない波の静かな音の合間に、時折風の吹く夜だったがほとんど寒さを感じることなく熟睡し、目覚めて時計を見ると6時前。波の音は時折リズムを変えて聞こえ、山の方から鳥の鳴き声も小さく響く。
うっすらと夜が明けかけている雰囲気だったのでテントから出てみると、まだ日の出ではないものの夜はすっかり明けていた。
四郎号も健在。
テントを開けても覚悟していたほどの寒さはほとんど感じなかったので、しばらくテントの中からぼーっと海を眺めていた。
双子岩と言われる少し沖合にある2つの岩の間の水平線からゆっくりと昇ってくる優しい明かりと静かな海と岬や防波堤の陰影に言葉を失う。そもそも日の出なんて眺めたのは久しぶりだ。
これもかな~り覚悟していたのだが、なんと夜露がまったくといっていいほどどこにも付いていない。これにはびっくりした。寒さを感じなかったのも頷ける。 そして、太陽が出てきたらまずは四郎号にお手伝いを頼むのは習慣だ。
僕はとりあえずブレックファースト。
たいてい僕は、朝はコーヒーだけで済ませてさっさと片付けて立ち去り、コンビニに寄ってサンドイッチと牛乳を買う……みたいなことをするのだが、今回は久しぶりに朝メシ……じゃなかったブレックファーストをちゃんと取ろうと買い物も済ませていた。ただ焼くかあっためるかしかしないのだが、ソーセージと目玉焼きは神メニューだ。
もちろんコーヒーも。
優雅なブレックファーストメニューをたいらげたら、後片付け。夜露で濡れることもなかったのでテントをたたむのも気楽なもんだ。鼻歌交じりで荷物をシートバッグに詰め込んでいると、どこからともなく現れたどこかのおじいが話しかけてきた。
おじい「寒なかったか」
bar「全然寒くなかったです」
おじい「そりゃよかった。どこから来たん」
bar「大阪です」
おじい「おぉ。そりゃ遠いところから。ここはどうじゃった」
bar「初めてだったんですけど、いいところでした」
おじい「そうかそうか」←うれしそう
bar「高知はいいところですね。好きになりました」←本心
おじい「ここも、ほれ、ようけ金かけて整備してなあ」
たしかに無料で泊まれるところをここまできちんと整備してくれているのはすごい。
bar「ほんまですね」
おじい「ここも宣伝してな」
bar「はい! わかりました」
そして颯爽と立ち去るおじいの背中が妙にかっこよかったのは気のせいか?
というおじいとの約束を果たすために、ここ小鎌田の浜の朝だけでエントリーを立てることにしたのだ。
そして、立つ鳥跡を濁さず。
浜への出入り口を上って再びアスファルトに戻ったら見える小鎌田の浜の全景。
いろいろ調べてみると、ここだけではないのだが高知は「キャンプ場」としてではなく、ただ「テントを張って泊まってもいい場所」として整備してくれているのではないかと思えてくる。
久礼の方々、中土佐町、ありがとう! 少しは宣伝になるといいんだけど。
(つづく)