RIDER NOTES

BC-ZR750C乗りの残しておきたいログ

四国|3.どこに泊まるか

室戸岬

 このツーリング第2目標だった室戸岬。もうかれこれ30数年ぶりだ。

 無料の駐車場の端っこに四郎号を止めて岬の方へと足を進めてみると、ここから沖合140Kmにある南海トラフ(水深4000m)からもりもり運ばれてきたタービダイト(砂泥互層)が、今では荒々しく隆起していて、まるで人間の立ち入りを拒絶しているようにも見える。波立っていないはずの海もどこか厳しく感じる。

 四国に上陸してから初めて人と会話をしたのは、ここ室戸岬だった。

男性「(ナンバーを見て)大阪から来られたんですか」

bar「はい。(ナンバーが)愛媛ですね」

男性「昔大阪に住んでたので、僕も同じナンバーのバイクに乗ってました」

bar「僕も若い頃に愛媛に住んでたので、愛媛ナンバーでした」

 ちょっとした奇遇に驚きながらたわいない話を人とするのは楽しい。

 時計を見ると1時半すぎ。ゆるい海風に当たりながらツーリングマップルで道を確認すると、今日予定していた、高知市内にあるテン場まで途中買い物をしたり寄り道をしながらだと2時間半(もちろん下道)。ただ心の中で僕はまだ葛藤していた。

 というのも、「街の中にあるテン場でいい思いをしたことがない」という経験則である。日帰りでたとえば仲間たちとBBQ! というならまだしも、一人で街なかのキャンプ場にテントを張って、「いいキャンプだったな」という思いをしたことがない。

 かといって室戸岬から高知市までの間でいい感じのテン場はない。その「いい感じのテン場」なら、高知市内から高速を使っても1時間半はかかる四万十の手前にある久礼まで行かねばならない。

 下道をのんびり走って途中寄り道もしながらのんきに走ってキャンプを我慢するか、高速を爆走してここから寄り道したかったところを我慢しキャンプを堪能するか。

 ……。

 結局結論が出ないまま、「ま、走りながら考えるか」とR55をとりあえず高知に向かって走ってみることにした。

 高知湾に面した側のR55も、途中で奈半利や安芸といった小さな町をつなぎながらずーっと太平洋に面して走るので爽快!

 海沿いを走っていると、時折 ↓こういう建物を見るのだが、  

 先ほども少し話題に出たけど、やっぱり備えなければならないのは南海トラフの巨大地震とその津波。トラフに面した高知だからこそ、しっかりとした備えをしようとしているのがわかる。もちろん役に立たないまま終わるのが一番幸せなのだが。

さてどうする

 安芸を過ぎ、そろそろ決断をせねばならん。のんびり走って高知市内のキャンプ場に賭けるか、ちょっとがんばって高速に乗ってでもキャンプ場を満喫するか。

 そして僕の結論は、↓

(高速だー)

 「いいキャンプ」を選択。そうと決めれば話は早い。できれば日没までには着いてテントを張り終えておきたいところだ。

 しかしこの道は今ではまだ完全につながっていないようで、安芸から乗った自動車道は一旦南国市で降ろされ、空港あたりから再び自動車道に乗って高知市へ。市内では市街地の東側を走るぶっとい道を北上して高知道に乗るという仕組みになっている。そこからはほとんどが一車線しかないので前の車に続いてのんびりと走り、中土佐ICへ。目的地はここからほど近い海際だ。

 その前に久礼の町で薪と食料をゲットし、目的の無料テン場に着いてみると、チャリダーの方がお一人すでにテントを張っているだけで、広くはないがあとはオールフリーなので、適度に距離をとってテント設営。なんとかギリギリ日没には間に合った。

 そそくさと火を熾してチャチャっと晩メシ。

 ↑ 本日実戦初投入のトランギア鍋。

 聞こえるのは日の爆ぜる音と時折寄せる波の音。

 思ったほどの寒さではなかったものの焚き火の温かさがうれしい。そんな気温。コーヒーを飲みながら焚き火の面倒をみつつ、波の音と低く見える月明かりに包まれているといろいろと考えごとが浮かんでくる。

 薪も燃え尽きた11時にはシュラフにもぐり込んで一日は終わったのである。

(本日の行程)

(つづく)