rider notes

BC-ZR750C乗りの残しておきたいログ

但馬・京都|1.出石

 突如、降って沸いたようにゲットした貴重な日曜日にお休み。普段、平日にしか休めないボクにとって「週末=高速半額」。なんという甘美な響きの言葉だろうか。

 というわけで、今回はドドンと高速を使うこととして、行先は「とりあえず北」。なぜ「北」なのか? 知りたいかね? 北にさすらうのが漢(おとこ)だからだ。

 ここんところ一人でツーリングに行こうとなると、「わざわざ眠い目をこすって起きて、ふらふらしたままで無理に(ツーリングに)行かなくてもいいじゃん」的な発想になりがちだったのだが、今回はどういうわけか目覚ましを5時にセット。愛する奥様をなるだけ起こさないように気を遣いながら支度を済ませると、四郎号を暖機してから、5時半には高速に乗っていたのである。

 気分よく走り出したはいいが、寒すぎる。明け方が一日のうちで最も気温が低いのはもちろんわかってはいたものの「もう5月も下旬なんだし、長Tとメッシュジャケットでいいよね」という非科学的希望的観測のみで出発したのが大間違い。マジで「帰っちゃおうかな」と思ったのはここだけの秘密だ。

 唯一の救いは、少なくとも大阪では最高気温が26度にはなるだろうということ。北に向かっていくので多少低めになるとしても、24~25度あればあったかいハズ! と、これまた単なる希望的観測によってそのまま驀進することにした(とはいえ、あまりの寒さに法定速度以下でしか走れない)。

 寒さで震えていようがいまいが、とりあえず行き先を決めねばならぬ。近畿道を北上して吹田にやってきたところで、な~んとなく中国道に入り、出発してから1時間ちょっとで西宮名塩SAに到着。ここでツーリングマップルを見ながら作戦会議(一人だけど)をすることとした。

 たまごパンと野菜ジュースを買ってきて、さてツーリングマップルツーリングマップル……

 中部・北陸版?

 

~参考資料~

 ヤテモタ━━━━ヽ(´д`*)ノ━━━━!!!!

 方角で言えば北西に向かっているのに、中部・北陸版を持ってきてどないすんねんと自分に激しくツッコミを入れ、一時呆然とするも、「あ、そーいや高速って無料で地図配ってなかったっけ」と思い起こし、すぐさまインフォメーションコーナーに行ってみると、

 ありました、ありました。「高速道路ガイドマップ」っていうくらいだから、高速と国道クラスしかはっきり書いてませんが、ここまできてしまえばしかたがない。とりあえずこのマップを見ながらの作戦会議の結果、このまま中国道を進み、舞鶴道に入って出石で蕎麦を食っちゃおうということになった。ルートはいくつか考えられるんだけど、たぶん一番短時間で行ける「舞鶴道~春日和田山道路(高速無料区間)」の和田山経由よりも、福知山からR9バイパスを経由してR426で行く方をチョイス。高速は便利だけど、この程度の距離ならやっぱ下道でしょ。

 ここまでのあまりの寒さにあったかい缶コーヒーを飲んだりしてすっかりほっこりしてしまった自分を奮い立たせ、ようやく出発。舞鶴道は高所で高架になってところがあって、横風でえらく煽られた記憶があったんだけど、それは今回は無し。

 その代わり、少しずつ太陽に照らされて、ほんの少しだけあったかいかな…と思える瞬間があったので救われたかなー。

 西宮名塩SAから福知山まで1時間という読み通り、約1時間後には福知山ICをR9に下りて見つけたコンビニで地図の確認。

 コンビニには必ずといっていいほど地図が置いてあり(もちろん売り物)、もしそれを立ち見してもよくわからなければ、店員さんは近所に住んでいるケースがほとんどなので、店員さんに聞けば近くの道のことはわかる。日本全国に45000店もあるコンビニは有効に使わなくちゃ損。

 今回はコンビニに置いてる地図で確認終了。ここから再びR9をするする~っと。

 ここまでくると、かなりあったかくなってきた! 天気もサイコーだし、道はボクの好きな「川沿いの道」だし、見晴らしもいいし、「ひゃっほーい」という感じ。

 出石へ向かうルートでの難関は和田山の中心部か、福知山の中心部かってことになると思うんだけど、R9は福知山の中心部を抜けているもののほとんどがバイパスになってるから、断然コッチがおススメです。

 R9を進めばやがてR426の分岐。いよいよここからは、まさに出石への道! んでもって、この道がまたいいんだわ~! 信号もなく、交通量もほとんどなく(朝早かったから?)、山間を縫うようにうねうねと続きます!

 1時間足らずで県道2号線に見えてくる「出石市街地」の案内板の通りに進み、細かいところは見た目の雰囲気で引き返したりして(細かい地図がないので)、やがて見えてきます。

 この辰鼓楼はいろんな資料によると、旧出石城三の丸の大手門脇に建設された鼓楼で、現在は時計台として使われている、まさに出石のランドマーク。いろんな雑誌やサイトで見ますよね。

 さて。

 時刻は上の写真でもわかるとおり、まだ9時過ぎ。時間的にも観光客なんて他にはま~ったくいないし、お店も店先に水を撒いたり箒で掃いたり、ようやく開店の支度をし始めた風情満タン。ま、どっかの駐車場(駐車場は辰鼓楼に来るまでにもすでに何か所かあった。バイク1日200円って書いてたな)に止めて、出石の町並を散策としゃれこもう……くらいに思ってたら、写真を撮り終えたボクにつかつかと近寄ってくるおっちゃん一人。明らかにどっかの蕎麦屋さんの大将である。

bar「おはようございますー」
大将「おはよー! ワタシもゼファー乗ってますねん。1100やけど」
bar「マジっすか」

 って感じで思わぬところで会話が始まる。最近行ったライダーたちのミーティングの話なんかも聞きつつ、

bar「どっかのお店の方なんですよね?」
大将「あ、うん。ここ」
bar「あ、ソすか。もう食っちゃっていいですか?」
大将「どうぞ、どうぞ」

 ってなわけで、これも何かの縁かと思い、まだ9時半にもなっていないのに、もう蕎麦を食っちゃうことにしました。おまけに、

大将「バイクはうちの横に寄せて置いといたらいいよ」

 ラッキー♪

 出石蕎麦の大門さん*1。まだ(間違いなく)開店時間前にいきなり入っていっちゃったもんだから、お店の女将さんも若いお兄ちゃんも明らかに大慌て。でもちゃんと用意してくれました。

「蕎麦ができるまで、こちらと蕎麦茶でお待ちください」

 bar的「世の中になくてもいいモノBest3」に入ろうかという、きくらげを煮たもの(佃煮?)。おそるおそる食ってみると……うまい。

「ではお蕎麦の前に、つゆと薬味です。お好みでどうぞ」

 注文するときにメニューを見てみると、一人前で蕎麦の載った皿は5つ。最初から全部盛りで食うのはいかにももったいない……1杯目はつゆだけ。2杯目は+卵。3杯目は+とろろ。4杯目は+ワサビ。5杯目は+ネギ。ローテーションはこれで決まりだ!!!!!(正しい食べ方かどうかは一切不明)

 そして蕎麦登場!

bar「あれ? ひと皿多いような気が……」
お兄ちゃん「これはうちの大将からの心遣いです」

 大将にお礼を述べつつ、ボクは内心思っていた。

「ん? 蕎麦の色が薄いな……。味は大丈夫かな……」

 ところがさっき決めたローテーションどおり、まずはつゆだけで1皿目を食ってみると、なんてもっちり~♪ それでいて、歯応えもあって、こりゃうまいわ~! 続けて+卵、+とろろ、+ワサビ、+ネギと食っていくうち、

(あっという間にごっちゃんです)

 ここ「大門」さんでは、おかわりをひと皿ごとに頼めるということなので、あと3皿追加!

 出てきて、

 即完食!

(大将から「割引券付いてるから、友達に配ってよ」との指令)

(シメの蕎麦湯でつゆを割って、まさに余すところなく堪能)

 たった9皿で腹いっぱいになるのか? と思われるかもしれませんが、ボクにはちょうどいいあんばいの満足り方でした。

 「今からちょっと町を散策してみたいから、バイクをこのまま置いといてもらえないか」とのボクのあつかましいお願いを快く引き受けてくれた大将とお兄ちゃんにお礼を言って、そこからまだ10時を過ぎたばかりの出石の町並をぶらぶら。

(お店は蕎麦屋さんか、窯元のどっちかしかありません)

(明治館。旧郡役場。JAFカードで入場料2割引き)

(普通の民家に見えたけどやっぱり蕎麦屋さん)

(たくさんあるお寺の中の一つ・本高寺)

(歴史資料館。入場料300円也。入ってないけど)

(大手筋。出石の中心を南北に走る大通り)

(まだ現役)

(「大門」さんの建物は、その昔郵便局だったそうな。大手筋から横の一方通行に入ったところに郵便局時代の入り口。貴重な建物)

 「大門」さんに戻り、お店の中にあったお土産物コーナーで、「bar的この世から消え去ってほしいモノBest3」にもランキングされていた、きくらげの佃煮の他にもしこたまゲット! お店の若いお兄ちゃんたちと話をしていると、大将はほんまにいまだ現役でバイクに乗ってて、誰よりもバイクが好きだと言うてました。ほんまに純粋に出迎えてくれたんやなぁ……。ライダーのみなさん!!! 出石に行ったら、蕎麦は「大門」!!! ライダーを大歓迎してくれますよ!!!

 支度をしていたら、道向かいの蕎麦屋さん「官兵衛」の大将も出てきて、四郎号を熱い視線で見つめる。お兄ちゃんたちの話だと、「大門」の大将と「官兵衛」の大将はバイク仲間なのだそうだ(笑)

官兵衛「キレイに乗ってるなぁ」
bar「ありがとうございます」
官兵衛「そうそう。最近ここら交通死亡事故がめっちゃ増えてるねん。覆面やら交機がよーいてるし、ネズミ捕りもよーやっとるから気を付けなあかんよ」

 聞けば「官兵衛」の大将も先日、気分よく走っているところを覆面に背後を取られ、気づいてすぐさまギアを落とすと、覆面がすぐさま車線変更して抜きにかかったそうな。抜き際に覆面に乗ってた交機の隊員に横目でにや~っと見られたとか。御年50は過ぎているであろう大先輩もマジで現役だ。 

 おしまいに二人の大将に篤くお礼を言って、次の目的地である丹後半島経由で京都祇園へ向かうことにしたのである。

(つづく)

*1:2022年現在、豊岡市内に移転されたようです