山の中と海際を堪能できたし、そろそろ商都方面に帰るとするか。
タンク空っぽ寸前の四郎号と空腹のぼくの両方を満たすため県道21号線を北上し、児島でR430を渋川海岸の方に走れば、GSも昼ごはんのお店もあるだろうと推測。児島あたりは意外とお店がいっぱいという大昔の遠い記憶だけが根拠だ。
児島ボートのどデカい施設を横目に県道21号線をひた走ると、郊外特有のでっかい構えのお店がR430沿いに軒を連ねる。しかし、大きめのコインランドリーやネットカフェは見当たるものの、昼ごはんを食べられそうなお店は反対車線にばかり。そもそも入れそうなGSが見当たらん。
琴浦あたりまできてやっとGSを発見したので、まずは四郎号を満腹に。
このままR430を宇野方面までぐるっと走るつもりだったが、渋川海岸あたりで 岡山のくせに 渋滞しているとの情報を電光掲示板でキャッチ。ここは山の中の県道266号線と427号線で一気に時間を稼ぐこととする。
GSからすぐの角で曲がって入った県道266号線だったが、
路面状態がよく、車はそこそこいたが信号がほとんどないため流れも非常によく、
びっくりするくらいの快走路だったのはうれしい誤算だった。
県道427を走り切ると同30号線を東へ。いいかげん腹が減ったので、玉野市のみやま公園というところにある道の駅を目指してみる。
道の駅の中にカフェもあったが、オシャレランチなメニューしかない。おっさん一人で食うのはあまりにもイタい……。しかし、せっかく瀬戸内に来てるんだからソレらしいものを食べたい……と二人のイケメンの間で揺れ動く乙女心を抱えたままふと気づくと、なんとキッチンカーがいるではないか。その名も「瀬戸内シオソバ 3.5」。謳い文句を見てみると、
「瀬戸内海産いりこ、九州産うるめ、鰹節、静岡宗田がつお、北海道産昆布など国産厳選素材がおりなす魚介の旨味もじっくり感じる旨出汁スープ」
「瀬戸内産はいりこだけなのに『瀬戸内』と名乗るにはおこがましいのではないか」「3.5とは何を意味するのか」「そもそもなぜ『シオ』ではなく『シヲ』なのか」などと細かいことをツッコむのはナシにしよう。たとえばコンビニで弁当を買って食べるよりはまだ旅情があるに違いないからだ。
ついでに、「瀬戸内産怪獣レモンを使用したさわやかな味わい。コーンフレーク入りの衣でゴツゴツした怪獣らしさとザクザク食感に仕上げました」という触れ込みの「怪獣レモンミンチカツ」も注文して「瀬戸内」感をプラスすることを忘れない。キッチンカーのにいちゃんは見た目に似合わず愛想がよかった。
できあがった塩ラーメンのスープは照り輝き、予想以上に絶妙な塩……いや、「シヲ」加減であっさりしつつも深い味わいで、ストレートの細麺ともぴったり。ミンチカツも衣だけでなく、中身もゴロゴロしていてまさしく食感がナイスだ。
思ったより美味い昼ごはんにありつけて大満足だった。
腹もできたところで、帰り道をどうするか決めねばならん。
このまま県道30号線を北上して岡山市内に入って山陽道に乗るのが一番手っ取り早いが、それではあまりに芸がない……とツーリングマップルを見ていて、ブルーラインを発見。今回の鷲羽山スカイラインと同様、走ればかれこれ10年ぶりくらいになるか。ブルーラインを走りきったら備前ICから山陽道にも乗りやすい。
と決まれば早い。主要地方道といった風情の県道30号線をひたすら北上し、
途中で一旦R2バイパスに乗って、
ブルーラインの標識が出てきたら、
スパッとスイッチ。そうしたら、そこはもうブルーラインだ。ブルーラインの西側半分は平野部にわざとらしく造られた高架道路。見渡す限りの田園風景の中をズドンと走る。
現在では備前市と岡山市をつなぐR2に渋滞が頻発することが多いため、同区間のバイパス的に機能する主要地方道として県道397号線になっているが、ぼくが放浪していた時代は結構な値段の有料道路だった(はず)。
おしっこをしたくなって入った一本松で態勢を整えたら、
ブルーラインの東側半分は山の中。アップダウンとゆるいワインディングを繰り返す。どっちにしても快走路だ。
備前の片上大橋は高いところに架けられているのですこぶる眺めがいいけど、運転中は脇見運転、ダメ、ぜったい。
ということで鷲羽山スカイラインと岡山ブルーラインの両方をセットで堪能しちゃう贅沢に酔いしれながら、備前ICからの山陽道もスルスルと進む。
宝塚あたりの渋滞は回避できたが、さすがに吹田~摂津の渋滞は回避できず、再び無の心境で淡々と。
日が暮れるのがすっかり早くなったが、見事な夕焼けを見ながら高速を快走し、今回も見事、愛する奥様のお手製晩ごはんに間に合ったので減点なし!
(おしまい)