rider notes

BC-ZR750C乗りの残しておきたいログ

信州|4.上高地乗鞍スーパー林道(白樺峠)

 その昔、「アールチヌ研の眠り姫」との異名を持ったこともあるボクである。2時にいったん目覚めたものの、再び眠りについたら予定通り5時に起床。9時に寝たとして5時まで7時間も熟睡したことになる。

 いざとなったら通勤電車の中で立ったまま眠れるボクにしたら、横になって寝れるだけ幸せ。布団じゃないと眠れない? シュラフってだけで幸せじゃないか!

 ん? そういやシュラフがやたらと濡れてるような……とふと見てみると、シュラフカバーとシュラフの間で、すげー結露。初日にして大濡れするとは……やっぱり安物のシュラフカバーじゃあかんな。

 少しばかり寒さを感じる中、空にようやく明るみを感じ始めてから慌ててテントの屋根にシュラフを干してみる。今日も使わなきゃいけないのに……これで乾かなかったら今晩のテント泊は無理だな…とかなり憂鬱な気分。濡れたシュラフほど気持ち悪いだけでなく、やるせない気持ちになるモノはない。あとは出発までに奇跡的に乾くのを祈るばかりだ。

 寝起きからいきなりシュラフを濡らすという大技をかましてしまった自分にすっかり気落ちしたものの、それでもなんとかなるもんさー、とまずは腹ごしらえである。メニューは、昨日ACOOPで買ったバターロール8個入りと飛騨牛乳。そして、家から持ってきたホーメルのチリビーンズの缶詰。

 バターロールはストーブに網を乗っけて焼くだけだし、チリビーンズはクッカーであっためるだけ。作るものは何一つない。

 せっかくなので朝の平湯キャンプ場をどうぞ。

 というわけで、予定の時間を過ぎるまで待ってみたものの、シュラフがふかふかに乾くはずもなく、やむなく撤収開始。

 今日も快晴。バイクをキャンプ場から引っ張り出したところですでに暑いではないか。このピーカンだもの。そりゃ今日もあったかくなるさ(と思いたい)。予定よりも30分遅い7時半にキャンプ場を出発。

 目の前のR158を東に進んですぐにある交差点が赤だったので止まってふと前をみると、いきなり、

 昨日とうって変わって(ほぼ)全開ではないか。んん~。シュラフが濡れちゃったことなんかどーでもいいかもしれない。

 気分的にはこのまままーーーーーーーっすぐ進みたいところではあるが、この交差点を右に曲がって安房トンネルを走ることに。ツーリングマップルでも安房峠越え(R158)をおススメルートにしてるのに、どうしてこんな新しい、しかも有料のトンネルを選択するのかというと、その昔ボクが全国をうろちょろしてた時代にはなかったトンネルだから。初体験というわけだ。

 トンネル入り口の、「ETCカード使えます。ETC割引もアリ。ただし車載器から取り出してカードを直接読み込んでください」というイミフな文言(過去、別府ICと生野ICでの悪夢の経験アリ)を尻目に600円を料金箱に放り投げていざ行かん。

 この安房トンネルの開通以前はというと、飛騨(岐阜県北部)と信濃(長野県)を結ぶのは狭いR158しかなく、冬は積雪で通行止めとなるだけでなく、観光シーズンともなると大型観光バスの通行で渋滞になり、一つの峠(安房峠)を越えるだけで最大8時間もかかるほどの難所だったのだが、1997年のこの安房トンネルの開通により、たったの5分で飛騨と信濃が結ばれたという画期的なトンネルだ。

 というようなことを書いてるツーリングマップルを読めば、たった5分とはいえ600円も払おうと思えるものである。トンネルを抜けてR158をひた走り、「乗鞍高原はコッチ→」という看板(つまり乗鞍エコーライン)をスルーした先に出てくる県道26号線へ。

 この県道26号線。何やら「野麦街道」というらしく、ところどころにその名前が。そのまま直進し、奈川という集落のエネオス(GS)を目印に案内板にしたがって右折。朝の静かな、小さい集落を抜けると、そこが上高地乗鞍スーパー林道の入り口。

 その昔、この入り口前まで来たことがある。昔は立派な有料道路で、確か800円だか900円だか忘れたが、1000円近くする料金に思わず引き返したのだけは覚えている。その頃は乗鞍スカイラインも走れたし、どうせ1000円出すんなら何もここを無理に走ろうとは思わなかったような記憶が。しかし、乗鞍スカイラインが一般車乗り入れ禁止になってしまった今、自力で少しでも乗鞍岳に近づくためにはこっちを選択せざるを得ない。しかもこっちは今は無料だし♪

 乗鞍スカイラインほど視界もよくなく、道も狭いのだが、

 とにかくこの道はすごい! 何がすごいって、まぁ名前が「林道」だから路面状態が悪いのはしかたないとして、

(1)目の前をリスが突如横断×2回
(2)落ちてきたイガ付き栗がヘルメットのシールドを直撃×2回
(3)「落石注意」という看板があった数メートル先には必ずトラップのようにこぶし大の岩が散乱×3回

 そして、

(4)野生の猿がガードレールに乗って腰かけ、こちらをガン見×1回

 そんな野性味のほとばしる林道をビュビューン! と走れば、ツーリングマップルも「乗鞍岳から穂高連峰まで一望できる絶景の峠」とおススメの白樺峠! と思ったら、

 目の前の木々が鬱蒼と茂ってて、一望ってわけにはいきませんでした。ま、無料にしちゃったからね。維持するのも大変だ。

(苦し紛れに木々の間から乗鞍岳主峰の剣ヶ峰3026mを無理やり望む)

(こちらは無理やり大丹生岳2698m?)

 ちゃんとした眺望がわかるのは、横っちょに遠慮がちに掲げられていた看板だけでした。

 木々に邪魔されながらではあるものの、やっぱりアルプスってすごいや…としばらく感慨に耽りながら眺めていると、老夫婦が車で到着。ボクと同じように何かの本で見て来たのかもしれないが、がっくり来てすぐに帰っちゃった。まぁ気持ちはわからなくもないけど、これだけ快晴なんだから文句をいっちゃあ罰が当たるってもんだ。

 さて、白樺峠からはエコーラインに出ようかと迷ったものの、先を考えると元来た道を戻るのが早い。というわけで下山スタート。さすがに帰りは、(小岩のトラップはしかたないとして)リスの横断とイガ栗の襲撃はなかったものの、やっぱりこちらの方々はまだいらっしゃいました。

 ちょっと通り過ぎたところからズームにして写真を撮ったのだが、お互いを毛づくろい中。これからも仲よくね。

 林道を県道26号線までくだって、そのまま南下。今度は県道39号線にスイッチすると、一気に野麦峠である。

(つづく)