rider notes

BC-ZR750C乗りの残しておきたいログ

琵琶湖|3.彦根城

 信長のチビぶりに気分よく笑えたところで、なおも琵琶湖湖畔を北上することに。

 ちょっと琵琶湖は見飽きたもんで、ちょっと田園風景の中でも走ろっかなーと思い、県道2号線を走ることにする。「安土城郭資料館」から県道2号線に入ってすぐに安土城址があるんですが、汗水たらして上って見るほどのことはない。

 ちょっとばかし電線が邪魔といえば邪魔だし、信号もちまちまあったりしますが、安土からしばらくは交通量も少なく、天気もいいし、道もけっこうまっすぐで気分は悪くない。

 うちの近所にもこんな風景は売るほどありますが、なぜツーリングに出るとこういう写真↑を撮りたくなってしまうのだろうか。

 やがて彦根市街が近づいてくると、県道2号線沿いは大型店舗と車と人で大賑わい。天気もいいからか、半袖もけっこう多い。そんな中を看板にしたがって進んでいくと、やけに整備された道に出る。

 むむ? 道の両側にあるお店の外観が、ぜ~んぶ統一されてる。格子窓、袖壁、白壁。曲がり角には、関西アーバン銀行もあったけど、その銀行までおんなじ店構え。

 ところどころに、「夢京橋」とか「キャッスルロード」と書かれた張り紙やら石柱アリ。帰って調べてみると、彦根城の城下町として最初に整備された歴史ある町並みを保存しようという運動らしい。

www.hikoneshi.com

 近江八幡といい、この彦根といい、住民主体の歴史への主体的な取り組みってのはいいですな。

 その「夢京橋キャッスルロード」をどんつきまで行くと、そこが彦根城彦根城は外堀を越えて中にまで入れるお城。駐車場も城域内にあるというわけ。おばちゃんの指示にしたがってバイクを止め、駐車場代100円(車は400円だか500円だか)。もう、あぢーのなんの。メッシュジャケも脱いで手に持って、いざ彦根城攻略に向かうのぢゃ。

 表門をくぐり、見学料600円。こんなに高かったんや…と思いながら進む。

 ひーひー言いながら、どーにかこーにか階段をのぼりきって、ようやく天守(本丸)に到着(この時点で若干ヤラれ気味)。

 彦根城天守は、松本城、姫路城、犬山城とならんで国宝に指定されている。松本城と姫路城は四郎号で行ったことがあるから、あとは犬山城だな。

 天守への入り口からも見える、久々の琵琶湖を眺めながら、靴を脱いでいざ内部へ! と勇んで進むと、

 また階段かよ! そう。彦根城の階段は、すんげー角度でも有名なんですね。ひーひーふーふー言いながら(見た目はいかにも楽勝デス的雰囲気を漂わせながら)、ようやく3層の天守を攻略。

 しかーし! 大変だったのは下り。そう、僕は忘れていたのだ、「のぼりよりくだりの方がツラい」という真理を。ここ数年では味わったことのない、大腿四頭筋(太ももの前の筋肉)の痛み。まぢで手すりがなかったらごろんごろん転げ落ちてるところだった。

 出口にいた係員と、

おっちゃん「階段、すごかったでしょー」
bar「すごいなんてもんじゃありませんよ。足がつるかと思いました」 ←ホントはつってる
おっちゃん「そーでしょー。上の階段は傾斜角60度、下の階段は62度です」 ←やや満足げ
bar「もはや壁ですやん……。大阪城みたくエレベーターにしてもらえると助かります」
おっちゃん「国宝ですから、それはちょっと…」 

 みたいな会話をしたとき、

おっちゃん「是非、西の丸をご覧になってください。広くて気持ちいいですよ」

 とのことだったで、天守をぐるりと回るように進むと、そこが西の丸。木がたくさん陰をつくってくれてて、ベンチなんかもあるし、ちょっと休憩するにはいいかも。特に足がつってるようなヒトには。

 ベンチに座って愛する奥様にメールで現在地報告。さっきさざなみ街道(県道559号線)に入ってすぐのところで、「琵琶湖なう」と報告はしていたのだが。

bar「お城なう」 (添付した写真)
愛する奥様「琵琶湖城?」
bar「そんな城ねーよ」
愛する奥様「じゃ、どこなん?」
bar「桜田門外の変で殺されちゃった人のお城。ググること!」
愛する奥様「はい!」

 少ししてメール着信。

愛する奥様「彦根城!」
bar「大正解!」

 お次は、「天守閣見学」料600円に含まれている「玄宮園」というお庭の見学へ。玄宮園は、1677年に4代藩主・直興によって作られた、いわゆる大名庭園。お殿様のためにつくられたお庭ですな。国指定の名勝でもあったりします。西の丸からの階段に筋肉をひーひー言わせながらおりていって、お堀のそばをちょっと歩くと、入り口はすぐ近くにありました。

 まぁ、なんとゆーか、豪勢といえば豪勢。ちょうど季節も緑が深くなっていく頃だったからか、けっこう見栄えはしてましたよ。

 さて、この彦根城ですが、徳川家康の「四天王」の一人、井伊直政から始まる井伊家が治めていたんですが、井伊直政っていうよりも、愛する奥様にも問題に出した、「桜田門外の変」の主役・井伊直弼の方が有名かな。井伊直弼彦根藩11代藩主・井伊直中の11男に生まれ、本来なら藩主なんて夢のまた夢みたいな位置におり、30過ぎまでは、ただの「冷や飯食い」だったんですが、兄の相次ぐ死から15代藩主に収まった「彦根ドリーム」の体現者。後に大老(将軍を除けば、実質的な江戸幕府の政治の最高責任者)に就任するや、自らが開国派だったことから攘夷派を粛清(「安政の大獄」ですな)。その怒りを買った形で、江戸城桜田門外において水戸藩士を中心とした攘夷派に襲撃され、命を落としたんです。「開国派」と「攘夷派」の対立の経緯は、まぁこのツーリングには直接関係がないので割愛するとして、良かれ悪しかれ、この井伊直弼は動乱の幕末には欠かせない人物の一人というわけです。

 さて、フツーに歩いてるだけでも汗がだらだらの中、彦根城のいたるところに配置された階段ですっかり足をヤラレた僕は、とりあえず四郎号のところに戻って缶コーヒーを飲みつつ、また作戦会議。よく見たら、彦根って琵琶湖東岸のちょうど中間あたりなのね。ここで帰っちゃったら、「琵琶湖東岸制覇」とはならんな。ツーリングマップルじゃ、「さざなみ街道」(彦根からだと県道2号線~県道331号線)はまだまだ続く。

 よっしゃ。ほな、北上!

 「明日から数日間は筋肉痛やな…」と軽く思いながらも彦根城からよくわからんままぐねぐね走ってると、なぜかうまい具合に県道2号線に出られたんで、そこから再び琵琶湖を眺めながらちんたら行くことに(ここらからは交通量がまぁまぁ多かったから自然とゆっくりに)。走ってると、ふと県道2号線の旧道みたいな道が見えたんで、急遽左折。これが大正解でした。

 凪の琵琶湖畔で、のんびり日光浴をする鴨。ほとんど打ち寄せることのない琵琶湖のやわらかそうな湖面。旧道だからか車もぜ~んぜん来ないんで、ちょっとの間ここでホゲーっと湖を眺めてました。

 再び県道2号線に戻って、ひたすら北上。

 ほっんとね。天気はいいし、のんびり走れるし、空は青いし広いし。ただひたすら琵琶湖を眺めながらの時速50キロ。サイコーです(ただし暑いのは除く)

 県道2号線を気分よく進んでいると、見えてきた「長浜」の文字。長浜は、豊臣秀吉織田信長から初めてもらったお城のあったところ。数年前の大河ドラマで主人公だった山内一豊も秀吉からもらってましたね。

 しかーし! 大阪人でありながら秀吉崇拝の気持ちはこれっぽっちもない僕としては、信長以上(以下?)に興味がない。立ち寄る気もまったく起こらず、そのまま県道2号線から県道331号線にスイッチ。この県道331号線も、名前が変わっただけで、ただひたすら律儀に琵琶湖畔に沿って進む快走路。さっきまでわんさかいたトラックやなんかも知らん間にどっか行っちゃって、再び一人旅状態。やがて見えてきた、道の駅「湖北みずどりステーション」で今日のツーリングは終了気分。

 冷えた缶コーヒーを飲み、ひたすらぼけーっとしてから、さざなみ街道へ。県道44号線に入ってからすぐに、ぼちぼち琵琶湖も終わりかな…と思って撮った写真。

 結局これが、琵琶湖を近くで見た今日最後のショットになりまひた。

 そろそろR8にぶつかるかなーといった辺りから、北陸道の木之本あたりまでは、いわゆる「狐の嫁入り」(注:晴れているのに雨が降ってくる状態)にやられましたが、晴れと雨の境目をキレイに通過した後の北陸道は、まるで伊勢道

 名神に入って大津SAで休憩。SAからは遠くに琵琶湖が見えた。これで本当に今日の琵琶湖とはお別れ。

 「近江牛コロッケ」の幟に、「そーいや今日は朝からな~んも食ってなかったな…」と思い出し、買おうとしたら、

店のおっちゃん「コレ、作ってから時間たって味も落ちてるやろうから、タダでええよ。ごめんね」

 といって、タダで近江牛コロッケをゲットしたところで今日はおしまい。

 そんなに悪くなかったけどな。

(おしまい)